「子どものため」って大人はよく言うけれど、本当だろうか。有無を言わさずに子どもを方向づけ、小学校でも道徳を教科にして大人が評価するようになる。それってほんとに子どものため? 私が一番多感だった子ども時代は戦時中でした。長崎の実家はキャバレーのようなカフェや銭湯をやっていて、昼間とは違う大人たちの姿を見て育ったので、かわいげのない、変わった子どもでした。 普段は立派な身なりの人が意外とだらしのない体で、ヨイトマケのおばさんが立派な体だったり、官職にある人がお忍びで来て、ホステスにいたずらしてヘラヘラしたり。そんな大人たちが「ねばならない」と押しつけていた軍国教育は、長崎にも原爆投下を招いた末の終戦で全てひっくり返り、美徳とされてきた価値観は悪徳になりました。 私は、そんな大人たちをみて…
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