【北京=西見由章】中国遼寧省の高級人民法院(高裁)は29日、薬物密輸罪に問われたカナダ人男性、ロバート・シェレンベルク氏の上訴審初公判を大連市の法廷で開いた。高裁は懲役15年の1審判決を「不当に軽い」とする検察側の意見を採用、同判決を破棄し審理を中級人民法院(地裁)に差し戻した。官製メディアは、同氏が大量の薬物を密輸していたと伝えており、差し戻し審では死刑を言い渡す可能性もある。 シェレンベルク氏の事件は中国国内で全く公表されていなかったが、高裁が26日、上訴審について突然発表した。中国当局は通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)幹部を逮捕したカナダ政府に対し、報復として在中カナダ人を相次いで拘束。さらにシェレンベルク氏の裁判を利用し、カナダ政府に圧力をかける狙いがあるとみられる。 高裁によると、2016年3月に大連市の地裁で1審の公判が始まり、今年11月20日に懲役15年の判決が言い渡さ