みずほ銀行がまたしても、世の中の「期待」を裏切った。といってもシステム障害を再発させたわけではない。勘定系システムの完全統合と再構築を成功させた。「失敗するだろう」「またトラブルを起こすのでは」という雑音をはねのけた格好だ。プロジェクトは本当に完了したのか、結局いくらかかったのか、今回はなぜ完遂できたのか―。みずほの「過去」を知るIT関係者なら、こうした疑問を浮かべて当然だ。みずほ銀行のシステム動向を20年にわたり追いかけてきた日経コンピュータが、総力取材によって謎を解き明かす。 出典:日経コンピュータ、2019年9月5日号 pp.26-57 みずほ3度目の正直 記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
システムの品質をいくら高めても移行でミスが出れば、それまでの苦労は水の泡だ。トラブルなく新システム「MINORI」の全面稼働にたどり着けた裏には移行作業の進捗を管理・共有できる仕組みを整えていたことがある。事前の入念な訓練も奏功した。 「安全・着実な移行が大命題だった」。みずほフィナンシャルグループ(FG)の高橋直人常務執行役員はこう力を込める。 安全・着実な移行を成し遂げるために用意したのが「みずほ天眼システム」だ。移行に伴う1つひとつの作業の内容や実行時間、進捗を一元管理する専用システムである。移行のリハーサルが始まる前の2017年後半までに開発を終えていた。 移行作業は大まかにいうと、移行元のシステムからデータを抽出して移行先のシステムに転送したうえで、取引が正常にできるかを確認するといった流れで進む。みずほFGは移行に際し、1回につき150前後のチェックポイントを設けていて、天眼シ
新システムの「MINORI」は完全な新規開発だ。旧みずほ銀行(BK)の旧勘定系である「STEPS」や旧みずほコーポレート銀行(CB)の「C-base」、みずほ信託銀行(TB)の「BEST」からはコードを一切引き継いでいない。 ユーザー部門による要件定義もやり直した。その際は旧システムの要件や現状の業務フローを踏襲する「AS IS(アズイズ)」の要件定義を全面的に禁じた。「過去の苦い経験から、要件定義においてユーザー部門が『今のままで良い』『アズイズでよろしく頼む』との態度をとるのが最悪だと学んだからだ」。2009年以来、みずほフィナンシャルグループ(FG)の最高情報責任者(CIO)を10年間務めた安部大作副会長執行役員はそう振り返る。 苦い経験とはみずほFGが2004年から始めた次期システム開発の初期段階を指す。同社が「第1ステップ」と呼ぶハブシステムの導入は計画通り進んだが、続く「第2ス
みずほ銀行は新勘定系システムである「MINORI」にSOA(サービス指向アーキテクチャー)を採用した。アプリケーションをコンポーネント化(部品化)することでシステム変更の柔軟性を保ち、保守性を高める狙いだ。同行は今後のアプリケーション開発にかかる期間を約3割短くできると見込む。 MINORIの主役は「業務アプリケーション」「CIF(カスタマー・インフォメーション・ファイル)」「取引メイン」の3つだ。業務アプリケーションは銀行の商品や業務単位で構築した。「流動性預金」「定期性預金」「内国為替取引」「外国為替取引」「与信取引」などだ。各アプリケーションは「商品サービス」という独立したコンポーネントで構成する。最大規模の流動性預金は300の商品サービスからなる。MINORI全体で見ると商品サービスは約3000種類存在する。 業務アプリケーションにはそれぞれ残高など顧客データを記録する「元帳」があ
noteにおける、Amazon商品リンクの扱いについてのご説明。 noteでクリエイターさんがAmazonの商品リンクを貼り付けると、ディフォルトでnote公式のアフィリエイトIDが挿入されます。 この仕様について、あるクリエイターさんから説明が見当たらないというご指摘をいただき確認をしましたので、現状の確認とご共有をば。 現状の仕様現在、noteにおけるアフィリエイトリンクは、以下のような挙動になっています。 ・noteでAmazonの商品リンク(アフィリエイトIDなし)を貼ると、note公式のアフィリエイIDが自動で付与される。 ・クリエイターが自身のアフィリエイトIDを付与した場合、クリエイターのアフィリエイトIDが優先される。つまり、アフィリエイトIDなしのAmazonリンクには、noteのアフィリエイトIDが自動で付与されるわけです(大きな額ではありませんが、サービスの改善予算な
みずほフィナンシャルグループ(FG)のシステム刷新プロジェクトを、口の悪いIT業界関係者はなかなか完成しないスペイン・バルセロナの教会にちなんで「IT業界のサグラダ・ファミリア」とやゆした。2011年6月に本格化したプロジェクトが、「そもそも何をやっていた?」と疑問が出るほど長引いたのは、銀行システムの根幹といえる勘定系を全面再構築していたからだ。 「勘定系システムという土台を分解して一から作り直すのは、過去に例がない」。三菱UFJ銀行でCIO(最高情報責任者)を務めた三菱UFJリサーチ&コンサルティングの村林聡社長はみずほFGのシステム刷新をこう評す。 今の銀行システムの原型といえる「第3次オンライン(3次オン)」が稼働したのは1980年代後半のこと。それ以降、大手銀行が勘定系システムを全面再構築した例は無かった。みずほFGに限らず、どのメガバンクも合併のたびに勘定系システムを旧行のどち
新システム「MINORI」の開発に参加したITベンダーの数は、前代未聞の規模に膨れ上がった。取りまとめ役であるみずほ情報総研(IR)の1次委託先だけで70~80社。2次委託先、3次委託先を合わせると約1000社に上る。総務省の調査によると情報通信業を手掛ける企業数は5474社で、子会社や関連会社を含めても9806社(2015年度)。実に日本中のITベンダーの少なくとも約1割が集結した。 とりわけ重要な役割を担ったのが富士通、日立製作所、日本IBM、NTTデータの主要4ベンダーだ。MINORIを構成する業務アプリケーションの大半を開発した。 富士通は銀行業務の中核となる「流動性預金」を中心に担当。日立は「外国為替取引」などを手掛けた。日本IBMはメインフレームをはじめとする基盤提供を主な役割とし、NTTデータはPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)の支援を担った。 主要4ベンダーを含
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