中国のあるシュレッダー業者のもとには、切実な依頼が殺到している。風が吹けば桶屋が儲かる──その意外なビジネス展開の現場を、米紙「ワシントン・ポスト」が取材する。 リュウ・ウェイは、「ラブストーリーの亡骸引受人」を自称する。 北京にある国営の製薬会社での仕事を2022年に辞めて以来、リュウは北京のすぐ南にある廊坊市の工場倉庫で、書類など個人情報のシュレッダー事業を営んでいる。 とくに儲かる商売でもなかったが、昨年、「ブルーオーシャン」(競争のない未開拓市場)を探し当てた。離婚して結婚写真を捨てたがっている、都会暮らしの女性たちだ。 リュウは「ワシントン・ポスト」の取材に対して、死に関わるまた別の比喩を用いて言う。 「われわれは、そうした写真たちのライフサイクルが終わったときの火葬場なのです」 リュウのビジネスの潜在顧客はたしかに多い。2016〜2020年、中国では離婚件数が1年に400万件を
