<現代演劇の旗手として、また文化政策のオピニオンリーダーとしても活躍する劇作家・平田オリザ。その活動拠点だったこまばアゴラ劇場が5月末で閉館した。40年の軌跡の先にあるものは?> 東京大学教養学部のある目黒区駒場。小さな商店街の外れに平田オリザと彼の劇団青年団の本拠地こまばアゴラ劇場(以下、アゴラ)がある。いや、今では「あった」とすべきか。 1984年に開館したアゴラは、2023年12月に翌24年5月末での閉館が発表され、24年4月からはサヨナラ公演として青年団の代表作4作品の連続上演が行われた。今回のインタビューはその公演の千秋楽に劇場の事務所で行われた。こまばアゴラ劇場はどのように生まれ、そしてなぜ閉館することになったのか。 ──今でこそアゴラは平田オリザと青年団の劇場として知られていますが、どのように始まったのでしょうか。 もともとここは商店街の中の木造の2階屋で、1階の通り側を店舗