分断する思考 「若者はどうしようもない」と言う老人。 そう言う老人に対して「老人はどうしようもない」と言う若者。 「モテはどうしようもない」と言う非モテ。 そう言う非モテに対して「非モテはどうしようもない」と言うモテ。 「デモするようなやつらはどうしようもない」と言う非デモ。 「デモしないようなやつらはどうしようもない」と言うデモ。 こうした思考を、サルトルは「集列的思考pensée sérielle」と呼ぶ。サルトルはそれが「わたし自身の思考ではなく〈他者〉となったわたしの思考」であり、「無力さimpuissanceの思考」である、と言う。サルトルはまた、それを「分断する思考pensée qui sépare*1」「分離主義的思想idée séparatiste*2」とも呼ぶ。 いま一つの企業を想像してみよう。そこでは二〇年か三〇年このかた、ただの一度もストライキが起こらず、だが「物価高