ある日突然、愛する家族の命が奪われる。悲惨な現実に直面した犯罪被害者の心の傷は、何年経っても癒えることがない。さらなる問題は、事件の後も刑事手続きやメディア報道など様々な形で傷つけられること、そして加害者に比べて国の経済的な支援が乏しいまま放置されていることだ。事件時のみならず事件後も苦しむ犯罪被害者、そうした現状の制度的改善を目指す人たちを取材した。(文・写真:ジャーナリスト・小川匡則/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 事件現場は自宅キッチン、電話を境に人生は一変それは突然の電話だった。2012年8月25日の昼、さいたま市の会社員、栗原一二三さん(61)の職場に埼玉県警から連絡があった。急いで自宅に戻ると、一帯には警察車両や消防車が並び、規制線の内側には何人もの捜査員がいた。最愛の母、秀子さん(享年77)の命が奪われたのだという。加害者は近くに住む30代(当時)無職の男で、