笑顔があった。2日間ともに、演技を終えて引き上げてきたあと、穏やかな表情を浮かべていた。 その表情のとおり、羽生結弦は、スケートカナダから確かな前進を示し、NHK杯で優勝を果たした。 11月25日、ショートプログラムは『レッツゴー・クレイジー』。 白から淡い紫の衣装に一新した羽生は、冒頭の4回転ループこそ、挙動が乱れはしたが着氷。4回転サルコウ-3回転トウループのコンビネーションジャンプを成功させると、トリプルアクセルではGOEで満点を得る。 103.89――今シーズンの世界最高得点をマークした。スケートカナダより安定を増したジャンプもさることながら、全体の流れに“冴え”があった。 「ロックスターになった気分で滑った」と言う羽生は、演技を振り返ってこう語った。 「スケートカナダから比べて、成長できた部分が多々あり、自信を持って臨むことができました。日本ということもあり、非常にこのプログラム