「福ちゃん」は、雑種の雄猫です。 今、フォトジャーナリストの大塚敦子さんと一緒に東京で暮らしています。 しかし、生まれたのは福島県大熊町。 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、すべての住民が避難を余儀なくされている所です。 大塚さんは、福ちゃんとの出会いで「運命の不思議さ」を感じ、「誰の命も置き去りにしないように」という思いを強めることになります。 そこには、こんな物語がありました。 「福ちゃん」との出会い 取材で大塚さんの自宅を訪れたとき、福ちゃんは2階のリビングの床に、ゆったりと寝そべっていました。 大塚さんと記者(私)が話を始めると、自分のことが話題になっていることを感じ取ったかのようにテーブルに上がってきました。 そして、寝そべったまま、しっぽで、くるん、くるんと記者の手をなでました。 大塚さんが初めて福ちゃんと会ったのは、去年1月です。 東日本大震災で、多くのペットが飼い主と離