除夜の鐘が初めて許可された三つの寺について。 今ではどこの寺でも突いている除夜の鐘が、はじめは増上寺・三井寺(園城寺)など三つの寺に許可されたものだと聞いた。残る一つの寺がどこかを知りたい。 <除夜の鐘について> 結論から申し上げますと、お尋ねの寺院を特定することは、できませんでした。 『仏教文化事典』(佼成出版社 1989)には、「除夜の鐘」という項目がありません。 「年越」という項目のなかに、大晦日の行事のひとつとして言及されています。(804頁) 起源は中国の宋時代、わが国では鎌倉時代以降禅寺で朝暮れの二回ついていたが、室町から除夜のみになり、いつしか除夜の鐘を合図に社寺へ初詣するようになった。という説明となっています。 ほとんどの仏教辞典にも同じような内容で説明されているようです。江戸時代、特に三寺のみが除夜の鐘をついていたという記述はみあたりません。 『江戸町人の研究 第六巻』(