「パリSGが4点を取れるなら、我々が6ゴール決められないことはない」 試合前の記者会見でバルセロナを率いるルイス・エンリケ監督が放った言葉である。 もっとも、この時点でこの言葉を鵜呑みにした者は楽観的なバルセロニスタを除いてほとんどいなかったはずだ。舞台はチャンピオンズリーグ、相手はフランス王者のパリSGだった。第1戦でバルサの攻撃陣は完全に封じされ、逆に4度もネットを揺さぶられた。 アウェーゴールのない4点のビハインド。いくら舞台がカンプ・ノウ、いくら役者が幾多の偉業を成し遂げてきたバルセロナの選手たちとはいえ、“ミッション・インポッシブル”という他ないシチュエーションだった。 しかし、歴史は作られた。それも単なる奇跡ではない。フットボール史に燦然と輝く大偉業である。ハリーポッターの作者として知られるJ・K・ローリングは、かつてラグビー・ワールドカップで日本代表チームが南アフリカを破った