政府は「税と社会保障の一体改革」で消費税率を10%に引き上げる方針だ。新聞界は新聞・出版物への10%適用を「知識課税」と捉え、複数税率の採用を主張している。憲法、メディア法が専門の鈴木秀美・大阪大教授と、租税法が専門の森信茂樹・中央大教授が消費増税時の考え方について論じ合った。【立会人・吉田啓志編集委員、写真・津村豊和撮影】 ◆「複数税率が多様性守る」--大阪大教授(憲法・メディア法)・鈴木秀美氏 ◆「消費税率、例外つくるな」--中央大法科大学院教授(租税法)・森信茂樹氏 ◇「知識課税」なき欧州 立会人 欧州連合(EU)27カ国中、4カ国は新聞がゼロ税率で、19カ国は標準税率より低くなっています。なぜ欧州では広くメディアへの適用税率が別になっているのでしょうか。 鈴木 EUの基本権憲章11条は「表現の自由」を第1項で保障したうえで、第2項で「メディアの自由とその多元性は尊重される」と定めて