海外の外注先とトラブルが発生した。発注書で決めていた納期が守れそうもないというのだ。我々から彼らにインプットすべき仕様情報が不正確だったし、予定より遅くなったせいだ、と彼らは、いう。こちらから見ると、彼らが出してきた設計承認図や仕様書の品質が低く、かなりコメントをつけてやり直しさせる必要があった。おまけに、両者共通の悩みとして、われらがエンドユーザーである顧客がぐずぐずとなかなか決めず、リサイクル的コメントをつけてくる問題があった。だが、まだ設計の中盤なのに、じりじりとスケジュールが遅れていった。このままだと、下流工程の仕事にも影響が出かねない。 担当者は、プロマネに相談にいくつもりだった。だが、彼のチームのベテランは、それを制した。そのベテランは別プロジェクトに従事していたが、担当者のことはよく面倒を見ていた。 「いったい何を相談に行くんだ?」 --このままだと2ヶ月近く遅れそうです。下
最初に、損益分岐点の説明からはじめよう。企業は、製品やサービスを売って売上を得る。しかし、世の中にタダの物はないので、そこには必ず費用(原価)が発生する。その費用が製品の販売数量に単純に比例する場合、企業は売上に比例した利益を得ることになる。この関係を図(a)に示す。横軸は、売上である。工場の視点から言うと、売上向上すなわち稼働率向上を意味するから、横軸は稼働率と見てもよい。縦軸は金額で、実線が売上高を、点線が費用を示す。費用は純粋に、売上高に比例する。これを変動費ともいう。売上に伴って、変動するからである。たとえば製品を作るのに必要な原材料の購入費がそうだ。あるいは、製品を加工するための外注費などもそうだ。 ところが、企業にはこれとは別に、売上高にまったく関係なく、固定的に発生する費用がふつうある。これを固定費という。その典型例は、設備機械の減価償却費である。あるいは、従業員の給料なども
要するにデータセンターの「原価計算」です。いろいろこのあたりに関わっています。複雑な計算ロジックと大量のデータを扱う必要があるので、大規模並列計算の適用が必須になり、結果として当方の出番になった、という状態。尚、実行基盤にHadoop(MapR)を利用しています。(一応予定ではSparkに移行するつもりで、開発も始まっています。) さて、いろいろやっていて思うところがあるので、現時点での考え方をまとめておきます。機微な部分はNDAになるので書きませんし、以下は自分の「個人的な」意見であり、特定のサービサーの話をしているわけではありません。基本的にInteropで公にしゃべった話のまとめです。 ■現状認識 現在、国内DCはほぼ乱立状態に近いと思われます。ここへ来て春先のAWSの値下げのインパクトもありました。今後は、より競争的なマーケットになるでしょう。退場する企業やM&Aも活発化していくで
デンバーでの仕事を終えたわたしは、テキサス州ヒューストンに向かった。最近開設したばかりの新しいオフィスで、グループ企業の幹部と打合せするためだ。全米のOil & Gas業界のメッカであるヒューストンは現在、非常な好景気にわいている。もちろんシェールガス革命のおかげである。米国の経済状況はまだら模様で分かりにくいが、少なくともエネルギー関係の産業は活況であり、そのためプラント系エンジニアも人手不足状態になりつつある。 シェールガス革命については、いろいろな事がいわれているが、的外れな解説も日本ではときどき見かける。Oil & Gasの分野の用語や技術が、分かりにくいからだろう。当サイトで1年ほど前に『シェールガス革命と、エネルギー価格のゆくえ』とう記事を書いたが、その後の情勢などは、いずれ項を改めて書こうと思う。しかし今回は、別のテーマである。それは、なぜ日本の製造業は、海外に工場展開を考え
数年前、中東のある国で、大手自動車ディーラーを訪ねたことがある。そこで働く日本人の方のお話を聞くためだった。名前をS氏としておこう。その会社はトヨタ車の販売も多く手がけており、トヨタのOBであるS氏を社内指導に招いていたのである。訪問の主目的は当該国のビジネス事情と官庁との関係をヒアリングすることだったが、氏がご自分がしてこられた事について、淡々と話されるのを聞くうちに、次第に驚嘆の気持ちがわたしの中でふくらんでいった。以下はその時に聞いた話だ(ただし差し障りがないよう、本質的でない点は少し変えてある)。 S氏はもともと、人材育成と社内教育のために、その2年ほど前に呼ばれたのだった。車のディーラーは、業容が拡大すると、売ったらそれで終わり、では済まなくなる。まず、補修用のサービスパーツを自分で手がける必要が出てくる。さらに売上が増えると、自社で保守点検の修理工場を持つことになる。他の不慣れ
上司の側から現場に出されるオーダーというものは、願望ではなく行動目標として記載されないといけない。 間違った文法に基づいて出されたオーダーは、責任を現場にかぶせ、上司を免責する効果がある。上司の側にはオーダーの文法を守る道理が生まれないから、「それは正しいオーダーではありません」というメッセージは、現場の側から伝えていかないと、職場の空気はだんだんと悪くなっていく。 願望と行動とは違う たとえば「床ずれの発症をゼロにしましょう。患者様のためです」という目標は、上司の単なる願望であって、オーダーとは違う。目標をどれだけ熱心に唱えたところで、「発症ゼロ」という目標を達成するための手段が示されない限り、それをオーダーとして受容してはいけない。 上司の唱える目標が、たとえば「今まで4時間おきだった体位交換を、今月からは1時間おきにします」であれば、これはオーダーであるといえる。通常勤務をこなしなが
就職活動のOB・OG訪問をオンラインで実現するジョブカレというサービスがあります。 これは「OB・OG訪問を受けてもいいよ」と考えた社会人が、自分の空き時間と面会場所をサイト上で設定し、それに就活中の学生が応募するというマッチングサービス。若い人たちがやってるスタートアップ企業のサービスですが、なかなか面白い発想だと思います。この運営元企業Arinosから「佐々木さんもOB訪問を受けてみていただけませんか」と申し出があったので、さっそく実施してみました。昨年末のことです。 まず学生さんたちの自己紹介から。 オガワ君:僕は中東や東南アジアに興味があって新聞や映画、本などをみて現状を勉強していて、新聞社に入りその実情を日本に伝えたいなという風に思っています。 キクカワ君:大学時代は、サークルは広告研究会に入っていてバイトは日経新聞の証券部の雑用をやってました。あとは国会事務所でインターンしてま
久しぶりにスケジューリングの話を書こう。スケジュールがなぜ長くなってしまうのか、どこを攻めたら短くできるのか、それを数字で指標化できる手法についてである。 いま、あるシステム製品をおさめる仕事を考える。単純化のために、この仕事は以下の6つの作業項目(アクティビティ)のみからなると考える。 1. 基本設計 (推定所要期間=20日) 2.1 ハード調達 (推定所要期間=35日) 先行作業:基本設計 2.2 設置調整 (推定所要期間= 5日) 先行作業:ハード調達 3.1 詳細設計 (推定所要期間=10日) 先行作業:基本設計 3.2 ソフト開発 (推定所要期間=20日) 先行作業:詳細設計 4. 総合テスト (推定所要期間=15日) 先行作業:設置調整、ソフト開発 さて、このお仕事の納期は何日かかるだろうか。これは、作業項目とその順序関係を図に書いてみると分かりやすい。仕事の全体像をネッ
津田大介のメルマガ『メディアの現場』より TPPで日本の著作権法はどう変わる?――保護期間延長、非親告罪化、匂いや音の特許まで TPPIPに対する各国ユーザー団体の反応は? 津田:やっぱり完全に米国式の知財ルールの押し付けですね。ほかの国もウチに合わせろって話ですよね、知財分野のTPPは。気になるのは、TPPの交渉参加国で怒っているところはないのかなということなんです。香月さんが出席した「NZ デジタル・ライツ・キャンプ」でいろんな国の人と話す機会があったわけですが、そのあたりの話は出ました? 香月:あそこに集まったのはTPPに反対する人たちばかりですから、それはもう非難轟々でしたよ。そもそも、今回MIAUのメンバーを招待してくれたのは「NZ デジタル・ライツ・キャンプ」を主催した電子フロンティア財団(EFF)という米国の団体です。[*30] 彼らは米国のインターネットやデジタル家電ユーザ
About 南の島のプログラマ。 たまに役者。 Practical Schemeの主。 WiLiKi:Shiro 最近のエントリ 無限cxr高校受験Defense振り返ってみると2019年は色々学んで楽...覚えるより忘れる方が難しい(こともある)眼鏡のつると3DプリンタIris Klein Acting ClassSAG-AFTRA conservatory: Voice Acting創作活動って自分を晒け出さねばならないと...ループを使わずに1から100までMore... 最近のコメント shiro on 歳を取ると時間が速く過ぎるのは、新しいことに挑戦しないから? (2023/03/14)1357 on 歳を取ると時間が速く過ぎるのは、新しいことに挑戦しないから? (2023/03/01)ベアトリーチェ on ハイポハイポハイポのシューリンガン (2022/04/02)ベアトリーチ
見渡す限りの荒野を、一台の幌馬車が西に進む。手綱を取るのはがっしりとした屈強の男。妻と子供たち、それに従者をしたがえながら、まだ見ぬ新天地を目指し、ある時は川を渡りある時は峠を越え、またある時は野牛や狼の群を警戒し、インディアンの不意打ちを防ぐため銃に弾丸を込めながら、彼らの旅路は続く。いかなる困難に遭おうとも、不屈の意志で乗り越え、一団を率いて数千マイルもの道のりを行く。これがアメリカ人の描くフロンティア・スピリットだ。 勇気を持って仲間を率い(lead)、今までとは違う新しい場所に導く者を、Leaderと呼ぶ。ここにはヒーローのイメージが重なっている。北米の文化において、困難に直面したときは、自分をこうした開拓時代の勇者になぞらえ、自ら鼓舞する事が求められる。もちろん、現代のアメリカ人の過半数は、べつに西武開拓者の子孫ではない。それでも、自らを擬する対象として、開拓のリーダーのイメージ
外資系(特に欧州系)の会社で働いてるひとや、欧米にお客さんが多いひとは体験したことがあるかもしれない。日本以外の国、とりわけ欧州諸国は休暇日数が多い*1。特に夏休みは長く、1ヶ月くらい休む人もざらにいる。その間、もちろん電話は繋がらない。メールの返事も来ない。休み中はもちろん、しばしば休みが終わった後も。 休みの間、ふつうは不在通知メッセージが設定されている。これは日本でも欧州諸国でも同じ(だと思う)。しかし自分が休暇中も働いてる人はいるわけで、休み明けにはたっぷり溜まったメールを処理するだけで一仕事。それがイヤな人は休み中も仕事メールをチェックする・・・日本だとよくある風景(だよね?)。 しかしベルギー人研究者のEric Duval's Weblog, 7月12日のエントリー「Vacation messages…」を読んで、薄々知ってはいたけれど、休みに対する感覚の違いについて改めてショ
The book Why Nations Fail makes the argument that sustained societal prosperity is only possible when economic and political institutions are inclusive instead of extractive. It’s a little long-winded, but the historical accounts of the rise and fall of the Roman Republic and the Venetian city-state in particular are fascinating. Both societies entered eras of strong growth and prosperity when the
WBS(Work Breakdown Structure)についてもう少しだけ書こうと思う。WBSはプロジェクト・マネジメントの土台であるにもかかわらず、しっかりした指針に関する情報があまり多くないからだ。 1950年代、相前後してPERTとCPMの二つの技術が米国で編み出され、これが現代プロジェクト・マネジメント理論のはじまりとなった。PERT(Project Evaluation & Review Technique)は米軍から、CPM(Critical Path Method)はデュポン社から提案された数理的手法で、後に両者はPERT/CPMとして一括りで呼ばれるようになった。このPERT/CPMが画期的だったのは、次の二点があったからだろう。 (1) プロジェクトを、より小さな単位的作業(アクティビティ)の集合としてとらえたこと。とくに、プロジェクトをアクティビティのネットワークと
ビジネスの世界では、ときどき常識では理解しがたいことが起きる。前に書いた『黒字倒産』という事象もその一つだが、もう一つ訳が分からないのは、原価を下げて黒字受注を続けたのに、会社が赤字に陥るケースである。しかも、“これはマズイ”と思ってさらに原価を下げる努力をすると、もっと赤字幅が増えてしまう。もちろん売値は下げていないのに、である。それは『不稼働損』という名のダウン・スパイラルだ。いくつもの日本企業(それも立派な大企業)が、この病に陥っているように見受けられる。いや、米国でもかつて多くの製造業がこれを経験し、その結果衰退した会社も少なくなかったと想像される。今回は、これについて書いてみたい。 単純化した例で説明しよう。今、ある企業の主力製品Aは、定価が25万円で原価が20万円だ、というケースを考える。原価のうち、製品1個あたりの標準の材料費が10万円、労務費が3万円、製造経費が3万円で、つ
半年ほど前のことだが、好川哲人氏の主催する「プロジェクトマネージャー養成マガジン 1000号記念セミナー」というイベントに参加した。好川さんはPM業界(?)における著名なコンサルタント兼エヴァンジェリストである。プロジェクトマネージャー養成マガジンという密度の高いメルマガを、ほとんど一人で書いて毎週何本も発信し、累計1000号に達したというのは、この分野にかける情熱の証拠であろう。16,000人ものの購読者がいることが、それを裏付けている。 さて、ラ・フォンテーヌ汐留で開催されたこのイベント、たしか30人近い人たちが参加した。その多くはIT業界である。好川さんは最初にキーノート・スピーチとして問題提起をされた。多くのプロマネにとって、仕事が苦しくなってきているというが、それをどう打開するべきか。苦しくなってきている、の箇所は、統計的な証拠を示したり会場の意見を聞いたりして、ほぼ全員の賛同す
「企業の外にいる個人が力を持つ時代」といった話をすると「はいはい、よくある“ノマド論”でしょ」などと思われるかもしれません。しかし、これは世界的な大企業であるIBMが、世界30カ国以上の248人の頭脳を結集して実施した未来予測*Global Innovation Outlook 2.0(GIO2.0)*に出てくる話なのです。 Global Innovation Outlook 2.0は2006年に発行された文書ですが、6年経った現時点の方が腑に落ちる箇所もたくさんあります。「企業と個人の関係」や「組織の未来」に関心がある人は、一回は目を通しておいて損はない文書です。 この文書は日本語版があります。次のリンクからPDFをダウンロードできます。 Global Innovation Outlook 2.0 (日本語訳・PDF) このGIO2.0の実施内容ですが、とんでもない規模です。 GIO 2
先日、中小企業診断士の勉強会で講師に呼ばれて、在庫管理に関する簡単なレクチャーをする機会があった。在庫問題は、製造業にも小売業にも広く共通する悩みといっていい。在庫に頭を悩ませないでいいのは、完全個別受注生産(英語でいうとETO=Engineer to Order)の形態をとる航空機・造船・プラントなど、設計してからモノを買えばいい業種と、あとはホテル・鉄道・医療・金融などの、そもそも商品の作りだめや在庫ができないサービス業だけである。 モノがありすぎる。それなのに、必要なモノが必要なときに限って、手元に無い。これが典型的な在庫問題だ。モノがありすぎればスペースをくう。保管や出し入れに余計な手間も費用もかかる。保管中に破損したり、有効期限を過ぎたり、へたをすれば陳腐化して無用になってしまうリスクもある。それに、お金を無駄に寝かせていることになる(運転資金を固定化してしまっているため、その分
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