日本において古代から現在に至るまで延々と読み継がれてきた漢文。 その読み方には中国から渡来した中国音で読む〈直読〉、そして、平安時代に生まれ、漢文読解の方法としてその地位を確立した〈訓読〉の二種類が存在する。 しかし、古代から現代までの間に〈直読〉は消え、日本語で読む〈訓読〉がもっぱら使われるようになった。 なぜ、日本では〈訓読〉優位の状況が生じたのか―。 漢文を取り巻く環境を一つ一つ分析することを通して、〈直読〉から〈訓読〉への変化を追い、日本人の漢字漢文受容の歴史を描きだす。 本書の目的 凡例 第一章 直読と訓読―現代と平安時代― 1 現代の直読と訓読 1―1 直読[中国語文・字音声読] 1―2 訓読[日本語翻訳文=直訳文・日本語音声読] 2 平安時代の直読と訓読 2―1 直読[中国後古典文=漢文・呉音漢音声読] 2―2 訓読[日本語翻訳文=直訳文・日本語音声読] 3 現代と平安時代