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ブックマーク / shinka3.exblog.jp (11)

  • 分子生物学と芸術が書き換えたアジアゾウの分類基準標本 | 5号館を出て

    久しぶりにロマンあふれる論文に出会いました。 Resolution of the type material of the Asian elephant, Elephas maximus Linnaeus, 1758 (Proboscidea, Elephantidae) Zoological Journal of the Linnean Society Early View (Online Version of Record published before inclusion in an issue) 論文の内容自体は生物学的にすごい発見というよりは、どちらかというと科学史のような趣があるものです。 1758年に分類学の開祖と言われるリンネがアジアゾウを分類して Elephas maximus と命名しました。アジアゾウとアフリカゾウは今なら我々が見てもひと目で見分けられるほど違いは有

    分子生物学と芸術が書き換えたアジアゾウの分類基準標本 | 5号館を出て
  • 爪が残っていればヒトでも指は再生する | 5号館を出て

    今日発表されたNatureのオンライン版に、弘前大学出身で北大の私の研究室で博士号を取得、今はニューヨーク大学でポスドクをしている武尾真君を筆頭著者とする論文が出ています。 Nature Newsにも取り上げられているので、かなり注目度の高い論文です。 How nails regenerate lost fingertips Study of mouse toes reveals pathways that could offer clues for regenerating human limbs. 現象自体は研究者には結構知られていることなのだそうで、実験に使われたマウスと同じようにヒトでも指先を切断するような事故にあったとしても、爪がある程度残っていれば指先は「完全に」再生することが知られていたようです。 なんだ、それなら度々日テレビに登場し、BBCでも大々的に取り上げられたニュ

    爪が残っていればヒトでも指は再生する | 5号館を出て
  • 完全な胎盤を持つトカゲ | 5号館を出て

    哺乳類でさえカンガルーなどの有袋類は胎盤を持ちませんが、軟骨魚類のサメや一部の硬骨魚類では卵胎生といって卵を体内で孵化させるだけではなく、輸卵管で栄養やガス交換を行ってしばらくの間、稚魚を育てるものが知られています。そういう動物で母体と子の間でガス交換や栄養・老廃物の交換をする組織は我々真性の哺乳類(真獣類)と同じく「胎盤」と呼ばれることがあります。 両生類の中にも、背中で卵を育てるもののうちいくつかのものは、母体との間でガス交換や栄養供給をするものがあるようで、そういうものも「胎盤」のような組織を持っているとされています。 しかし、哺乳類に近縁な爬虫類にも卵胎生のものが知られていますが、爬虫類では栄養供給や老廃物の受け渡しをする、いわゆる格的な「胎盤」を持つものは知られていなかったようです。 最近出た Journal of Morphology には、爬虫類ではじめて真性の胎盤と呼べる

    完全な胎盤を持つトカゲ | 5号館を出て
  • そこそこの科学者の叫び | 5号館を出て

    著者はイタリアの研究者で、ヨーロッパの研究費に応募して、審査の最終段階まで行ったらしいのですが、研究費の審査員が「あなたの申請研究は興味深く、著者は論文もよく出しているし、研究計画も良く書けているけれども、申請は不採択です」という理由が、彼が「良い研究者」だけれども「傑出した研究者」ではないからということでした。最近はいつもこんな調子で研究費がはねられているようです。 もっともノーベル賞(医学・物理・化学)の選考理由となるような重要な論文でも、そのうち30%は研究費をもらっていないというデータもあるのだそうです(John P. A. Ioannidis in Nature 477,529–531 2011)から、驚くべきことでもないのかもしれません。 それよりも著者を落ち込ませたのは、ある大学院生に彼の研究室で博士課程の研究をやらないかと誘ったのを、そんなことをやっていても将来お金を稼げる

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    nanakoso
    nanakoso 2012/02/24
    山を高くしようとしたら裾野を広げなければならない。
  • 今回の地震の特殊性 | 5号館を出て

    非常に広い範囲で震央が次々と移動しながら連続して地震が起きています。東京や千葉で大きな被害が出ているのは、東北沖ではなく意外と違うところでも大きな地震が起きているからでしょうか。私が無知だからだけかもしれませんが、こんなに広い地域を震源とする大きな地震が次々と起こった例は初めて知りました。 ものすごく不気味です。 14時46分の最初の巨大地震です。(すべてのデータは気象庁の地震情報ページのものです。)

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  • 小さなミジンコの小さなゲノムにたくさんの遺伝子 | 5号館を出て

    これが世界中にいるミジンコ(Daphnia pulex)です。当研究室のN木さんが、ポプラ並木の横の池から取ってきて、今でも継代飼育されているものです。 先週のサイエンス誌に発表されたこのミジンコのゲノム解読論文では、わずか200メガ塩基対しかないゲノムサイズの中になんと31000ほどもの遺伝子があるという驚きの発表がありました。ヒトのゲノムサイズは3ギガ(3000メガ)塩基対(合ってるかな?)もあるにもかかわらず、その遺伝子は23000くらいと見積もられていますので、ジャンクDNAだらけと言われるヒトのゲノムに比べると、ミジンコのゲノムは「遺伝子だらけ」ということになります。 これがサイエンスに載った論文の冒頭ですが、実際にミジンコの遺伝子解析には、ここに挙がっている著者だけではなくおよそ450名の科学者が協力したということです。 この論文の中に載っている遺伝子の数を比べた棒グラフです。

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  • タミフルがカモの泳ぐ京都の川で検出された 【追記 Nature blogでも取り上げ】 | 5号館を出て

    にとってとても重大なニュースだと思うのですが、なぜか海外から聞こえてきました。 Excreted Tamiflu found in rivers ヒトが排泄したタミフルが川で検出されたIf birds hosting flu virus are exposed to the waterborne pollutant, they might develop drug-resistant strains, chemists worry もしも、その川にいるトリがインフルエンザウイルスに感染していて、このタミフルにさらされたら、タミフル耐性のインフルエンザになる可能性があると、化学者が警告 Credit: PhotoXpress 科学と市民のための協会(Society for Science & the Public)が出している ScienceNews のサイトに出ています。 しかも、その

    タミフルがカモの泳ぐ京都の川で検出された 【追記 Nature blogでも取り上げ】 | 5号館を出て
    nanakoso
    nanakoso 2009/10/03
    タミフル飲み過ぎ
  • イヌの毛のパターンは3つの遺伝子の組み合わせで決まる | 5号館を出て

    Science誌の速報版、Science Expressに載っている論文です。 Published Online August 27, 2009 Science DOI: 10.1126/science.1177808 Science Express Index REPORTS Submitted on June 16, 2009 Accepted on August 14, 2009 Coat Variation in the Domestic Dog Is Governed by Variants in Three Genes 著者はEdouard Cadieu 他たくさんの方々 膨大な数のイヌの遺伝子を解析して、その毛のパターンを決める遺伝子を探したところ、基的にたった3つの遺伝子の組み合わせで決まるという結果を示したものです。 解説記事がBBC NEWSにあります。 Variet

    イヌの毛のパターンは3つの遺伝子の組み合わせで決まる | 5号館を出て
  • 短足犬を作ったのは動く遺伝子だった! | 5号館を出て

    最近は、コーギーや短い足の犬がはやっています。短足種としてはバセット(ハッシュパピーの宣伝犬)、ダックスフントなどが代表的なものですが、これらの犬に系統的近縁関係はないので、進化的に見るとあちこちの血統でそれぞれ独立に短足変異が起こったように見えます。 しかし、いずれの犬でも四肢の長い骨が伸びるときに早期に骨化が起こって伸長が止まってしまうという共通点があります。系統が異なる犬に同じ形質が出ていることに、何らかの遺伝子レベルでの共通点があるのではないかというところに目をつけた研究者が、短足とそうではない犬の遺伝子を精力的に調べておもしろい事実を発見しました。その結果が、オンライン版の Science Express に出ています。 Published Online July 16, 2009 Science DOI: 10.1126/science.1173275 An Expressed

    短足犬を作ったのは動く遺伝子だった! | 5号館を出て
  • サリドマイドで手足の奇形が生じるメカニズム | 5号館を出て

    でサリドマイドが妊婦のつわりや不眠症の改善のために販売され始めたのが1858年で、1959年頃から手足に奇形を持つ新生児の報告がみられるようになりました。1962年に回収されましたが、報告された被害者は309人です。サリドマイドは西ドイツで開発され、1957年から販売されましたが、1961年に回収されるまでに使用された薬剤の影響で3049人もの被害者が出ています。アメリカでは、治験段階で数名の被害者が出ただけだそうです(ここまで、Wikipediaの情報)。 Wikipediaでは30%の死産を含めて、サリドマイドの被害者総数はおよそ5800人と書いてありますが、naturenewsによれば、被害者は10000人近いとなっています。 naturenews: How thalidomide makes its mark (サリドマイドはどうやって効果をあらわすのか) このニュースにあるよ

    サリドマイドで手足の奇形が生じるメカニズム | 5号館を出て
  • iPS細胞には倫理的問題はないのか | 5号館を出て

    今日、世界を駆けめぐっている京都大学の山中さんの研究グループがヒトの皮膚細胞に遺伝子を導入してES細胞と同等の性質を持つiPS細胞を作ることに成功したというニュースは当に嬉しいものでした。もっとも彼らが昨年、マウスで同じようにしてiPS細胞を作ることに成功した時に、ヒトでの成功は約束されていたことなので、生物学的にはマウスの実験成功の方がはるかに大きなニュースだったのですが、医学的にはヒトで成功したということの持つ意味はとても大きいものです。 また、昨年マウスの結果が発表された瞬間から、世界の有力な研究者達がヒトの細胞を使って「追試」を始めたことは間違いなく、今日も実はウィスコンシン大学のグループが得たほとんど同じ結果の論文が22日のサイエンス・オンラインで発表されるというニュースと同時に流れているものです。もちろん、我々はこの研究のオリジナルは中山山中さん達のものであるということを知っ

    iPS細胞には倫理的問題はないのか | 5号館を出て
    nanakoso
    nanakoso 2007/11/22
    パーツごとに作るのは大変だろうけど、iPS細胞から卵子や精子を作る技術は以外と早く実現しそうだ。
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