東京電力は9日、福島第1原発事故の収束作業を陣頭指揮し、病気療養のために退任した吉田昌郎前所長(56)が食道がんであることを明らかにした。また事故後の吉田氏の被ばく線量は、内部・外部被ばく合わせて約70ミリシーベルトと発表した。 東電はこれまでプライバシーを理由に、病名や事故後の被ばく線量を公表していなかったが、吉田氏自身がこの日、第1原発を訪れ作業員らに病名を告げた。東電は「食道がんの潜伏期間は少なくとも5年。がんの原因が事故後の被ばくによる可能性は極めて低い」としている。 吉田氏は第1原発の作業員らに「食道がんの治療をしている。心配をかけて申し訳ない。これまでの尽力に感謝したい」と語ったという。 東電によると、11月に健康診断で食道がんと判明。24日に東京都内の病院に入院した。昨秋に東電が実施した健康診断では異常は見つからなかったという。 吉田氏は昨年6月、第1原発所長に就任。今年3月