この20年ほどは、メディアを通じて配信される記事や報道の中で、お名前を見かける機会がなくなっていた。それゆえ、私自身、和田誠さんのことを思い出さなくなって久しい。私は、忘れてはいけない人の名前とその作品を、本当に長い間、思い出すことさえせずに暮らしていた。何ということだろう。 訃報に触れて、あれこれ考えるに、自分がいかにこの人の作品から多大な影響と恩恵を受けていたのかを、あらためて思い知らされている。今回は、そのことを書く。 テレビや新聞の回顧報道を眺めながら、その回顧のされ方に時間の残酷さを感じることは、誰の訃報に触れる場合でも、毎度必ず起こる反応ではあるのだが、今回の和田誠さんの業績のまとめられ方には、ことのほか大きな違和感を覚えている。 何より、扱いが小さすぎる。 誰の訃報と比べてどんな風に小さいという話ではない。 和田誠という人が残した仕事の量と質と範囲の広さと、それらの作品を生み
20分でわかる「虐殺否定論」のウソ All the lies in “denial of massacre” revealed in just 20 minutes. はじめに忙しい人のためにかいつまんで説明 1923年(大正12年)9月の関東大震災時、混乱のなかで流れたデマによって人々が自警団を結成し、軍や警察も関与する形で、朝鮮人を無差別に虐殺するという事件が関東各地で起こりました。この出来事は、歴史の常識として中学の教科書にも載っていますが、最近、「朝鮮人虐殺などなかった」と否定する人々がいます。しかしこうした主張は荒唐無稽であり、史実・論理・常識に照らして、全く成り立つ余地がありません。そのうえ、こうした考えが広がることは、私たちの社会にとって現実的な危険をはらんでさえいます。それはなぜでしょうか。忙しい人のために、かいつまんで説明しましょう。 その1「朝鮮人虐殺」は歴史学の常識
2019.10.17 07:00 朝鮮人虐殺は過去の出来事ではない。関東大震災前夜にそっくりな2019年の日本/加藤直樹さんインタビュー 『TRICK 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(ころから)という本が注目を集めている。 作者は、加藤直樹氏。2014年に出版された前著『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(ころから)も大きな反響を呼んだ。 再び関東大震災朝鮮人虐殺をテーマにした『TRICK』は、インターネット上を中心にはびこる「虐殺否定論」のどこが誤っているのかを、膨大な資料をもとにひとつひとつ解き明かした労作だ。 本書ではそのうえで、虐殺否定論を「発明」した本、工藤美代子『関東大震災「朝鮮人虐殺の真実」』(2009年/産経新聞出版)および、著者名は変わっているがほぼ同じ内容の加藤康男『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』(2014年/WAC)を取
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く