紫式部は驚き、すでに横になっている弁の内侍を起こそうとしますが、眠りについているようで、すぐに起きてくれません。 そうこうしている間に、中宮の部屋のほうからは、人が泣き叫ぶ声がまた聞こえてきました。(いったい、何が起こっているの……)紫式部は不安でいっぱいだったことでしょう。(火事では?)と最初は思ったようですが、どうやらそうではないようです。 紫式部は、局にいた内匠の蔵人(中宮に仕える女蔵人)に「内匠の君、さぁ、さぁ」と声をかけます。内匠の蔵人を先頭に立てて、事件の現場に向かおうとしたのです。 「中宮様がお部屋にいらっしゃいます。まず、御前に参上し、ご様子を確認いたしましょう」ということにして、まだぐっすり寝ている弁の内侍を乱暴に叩き起こしました。 中宮の部屋に向かう3人の女性。おそらく、先頭は内匠の蔵人、次が紫式部、最後尾が弁の内侍だったのでしょうか(もしかしたら、怖がってしまった紫式