2018年8月に在日コリアン5人が北朝鮮政府に損害賠償を求める訴訟を起こした。「楽園が待っている」と嘘をつかれ、戦後の帰国事業で北朝鮮へ戻り、極貧と強制労働に苦しんだ人たちだ。日本政府は北朝鮮の現実を知りながら、帰国を促したとされる。 米紙「ワシントン・ポスト」が取材した。 北朝鮮の人間が自宅にやってきて、「地上の楽園」という祖国への帰国を父に勧めたとき、榊原洋子(68)はまだ幼かった。 1960年代初めのことだ。「社会主義の理想郷」が待っていると、彼らは言った。仕事、住居、衣服、医療、必要なものはすべて国が保障すると。 「小さかった私は会話には入れませんでしたが、話は聞こえました」と、榊原は振り返る。「私は父に言ったんです。行こうよ、行こうよって」 冷戦さなかの1959〜1984年、祖国での新しい生活が約束されているという言葉を信じて9万3000人以上の人々が日本から北朝鮮に渡った。ほと