リーマンショック以降、日立は思い切った自社の改革に着手してきた。同社は、これまでの重電から家電までを扱う総合電機メーカーから、脱炭素、デジタル分野を中心とする業態へ事業ポートフォリオを入れ替え、積極的に会社の形を変える努力を行ってきた。 同社の改革のスタートは2008年度にさかのぼる。2009年3月期、世界経済の失速によって日立の業績は悪化した。当時、「このままでは生き残り困難」との危機感から、同社トップは子会社の売却など構造改革を断行した。それによって得た資金を、デジタル化と脱炭素などの分野に再配分した。業態転換が功を奏し、AI業界の成長に伴って株価は上昇した。 今後、AIの成長で、世界全体で企業を取り巻く事業環境は加速度的に変化するだろう。現在、日立トップはAIを事業戦略の根幹に据え、エネルギー、インフラ整備、脱炭素などの需要創出に取り組む方針と考えられる。同社の今後の展開は、わが国企