2011年11月20日、オリオン書房ノルテ店で行われた、弊社代表の三島邦弘と、吉祥寺のひとり出版社、夏葉社代表の島田潤一郎氏の『計画と無計画のあいだ』刊行記念トークイベントの後編です。 前編では単身出版社を立ち上げたきっかけを中心に話が展開しました。精神的に火事になったり、炎上状態になったりと、それぞれの個性溢れるエピソードに皆さん興味津々の様子でした。 後編では、小さな出版社だからこそできる本づくりや、そこから描かれる未来についてのお話を、会場からの質問も交えてお届けします! 一点に向かうためのチーム 三島人を増やそうとは思わないんですか? 島田今はあまり考えていないですね。ミシマ社さんとか見ていると、ほがらかで楽しそうだなあと思うんですが。 三島僕も最初はひとりでずっとやっていこうと思っていたんですけどね。 島田例えば僕が編集をやって、他に営業を任せるとしたら、僕と同じ熱量でやってほし
2011年11月20日、オリオン書房ノルテ店で、『計画と無計画のあいだ』刊行記念トークイベントが行われました。対談したのは、著者である弊社代表の三島邦弘と、吉祥寺のひとり出版社、夏葉社代表の島田潤一郎氏。 年齢もひとつしか違わず、30代前半で単身出版社を立ち上げたという共通点もある二人。しかし、実はこの日が初めての顔合わせでした。『本をつくる、出版社をつくる』と題したこのイベントにちなみ、出版社を立ち上げたきっかけや、小さな出版社だからこそできる本のつくり方について思う存分話が展開しました! 自社製のタイヤを回すには? 三島本日は日本シリーズ最終戦にも関わらず、お集まりいただきましてありがとうございます。夏葉社とミシマ社、小さな出版社同士仲が良いと思われがちですが、実は島田さんにお会いするのは今日が初めてなんです。 島田今日はよろしくお願いします。僕は夏葉社を立ち上げる時に目標にした出版社
ミシマ社創業5周年特別記念企画第三弾の詩写真集『透明人間⇄再出発』は、デザイナーの寄藤文平さん、印刷設計(株)さん、製本所さんたちの知恵や技、思いがつまった"世界初"の本に仕上がりました。いったいどんなところが"世界初の造本"なのか? 従来の本の製本方法と比較しながら、本書の造本の秘密をご紹介いたします。 特殊製本「ENバインディング」とは? 『透明人間⇄再出発』は、実用新案を申請した「ENバインディング」という特殊製本の技術を基本につくられています。 本の綴じ方には、「中綴じ」「糸かがり綴じ」「アジロ・無線綴じ」「PUR綴じ」などがあるのですが、「ENバインディング」とは、「アジロ・無線綴じ」の本を開いたときに、用紙が湾曲することなく、ぱかっとスムーズに開くように考案された製本方法です。 本のなかでも、写真集や絵本などは、本の開きがよい方が好まれるため、「糸綴じ」が採用されることが多いの
自分たちの感覚を大切にした出版 『いま、地方で生きるということ』(西村佳哲、ミシマ社) 西村この『いま、地方で生きるということ』というタイトルに、カチンとくるひとが時々いるのを僕は散見しているんですよ。 三島ほう 西村たぶん、中央と地方という対立構造のなかで語られることに、ある種の屈辱を感じるんだと思うんですよね。でも、この「地方」っていう言葉に僕自身が感じていることは、おそらく「中央と地方」の「地方」じゃないなってことなんですね。 三島はい。 西村その辺、どういうふうに。 三島僕は、捉え方はほんとに人それぞれでいいと思っているんですけど、僕の捉え方は、「東京的じゃないもの」ということですね。言い換えれば、資本の論理だとか広告的なグラウンドで作られた価値観のなかで動いていく世界とは一線を画して、個人として、ひとりの人間として存在していて、それぞれが感覚を大切にしながら生きていく。そのことが
東京という記号 西村(会場に向かって)えっと、今日は、はじめに1時間ほど僕と三島さんとで話をして、そのあとは会場の皆さんから、「聞いてみたいな」とか「突っ込んでみたいな」とかいうことがあれば、答えていきたいなと。 三島そうですね。あのー、今日掲げていただいたテーマに関しては二人ともよくわかっていないということが先ほど判明して、そのあたりはうっかり本編で話さないかもしれないんで (会場から笑い) 三島そのときは質問でどんどん突っ込んでいただければと思います。 西村はは(笑)。でも何の話していいか全然わからないよね。まあ、おいおい。・・・始めましょうか。 三島はい。よろしくお願いします。 西村・・・さてさてさて。えっとー、今日は 『いま、地方で生きるということ』(西村佳哲、ミシマ社) 三島はい。今日は「いま、地方で本をつくるということ」というテーマなんですが、もちろんこのお題は、西村さんがお書
はじまりは本の杜、仙台から 「塩竈ブックエイド」に先がけ、21日の夜せんだいメディアテークで行われたトークセッション。3・11 を体験した漫画家のいがらしみきおさんと、映像作家で詩人でもあるクマガイコウキさんが「表現すること、考えること、生きること」の意味をユーモアを交えながら語ってくれました。 司会はライターで、【一箱本送り隊】呼びかけ人の南陀楼綾繁さん。いがらしさんの、「このたびの震災では、現実につかまれてほとんど身動きが取れないほどの衝撃があったけれど、自分と現実とのあいだに"あそび"が出てきたときに、だんだんと表現が回復するのだと思います」という一言が印象的でした。 塩竈ブックエイドの主催である【一箱本送り隊】。ホームページにはこんなふうに活動について書かれています。 「【一箱本送り隊】は、 自宅が、図書館が、書店が地震や津波で失われた被災地で、 本を読めない生活を強いられてい
「恵文社 一乗寺店」は、レトロな喫茶店のように、人々を優しく迎え入れてくれる。木造店舗と木製家具の木の温もりに、そっと包み込まれるような心地がする。 店長の堀部篤史さん(1977年生まれ)は、自著『本を開いて、あの頃へ』(mill books)のなかで、本や読書への思いを次のように綴っている。 「本や、それを読むという行為は他の何かと交換可能なものではない。検索して情報を知る以上の楽しみがそこにはあるということを自分自身の読書体験をもとに証明したかった。少なくとも読書やレコード蒐集の楽しみを知るものとして、振り返って気づく前にこの変化の流れに一石を投じたい。それを意識してから僕の読書はノスタルジーに取り憑かれた。 (略) 本を読むという行為だけは懐かしいものにしたくない。感傷的だと笑われるかもしれないが、そんな思いがこの本の至る所に込められている。」 (序文「読むことへの偏愛、読書そ
ホーム 本屋さんの遊び方 第21回 京都編・ガケ書房 山下賢二さんに聞きました――ガケ書房は、あなたが知らない世界をお届けします ガケ書房は謎めいている。 遠方販売(ネットショップ)のことば書きで、こんなことを語っている。 「たぶん、ガケ書房には目的の本はありません。しかし、目的外の本がそこにはあります」 かと思いきや、別のところで「ガケ書房は"究極の普通の本屋"」だとも言う。 「目的の本がない」本屋が、どう「普通」なのか? そして、そんな言葉を引っ張り出すまでもなく、その外観からして常識を越えている。 塀からクルマが飛び出している本屋なんて見たことがない。 つかみどころはないけれど、なぜだか気になって仕方がない。 でも、だからこそ、ガケ書房にしかない「遊び方」があるような気がする。 ミステリアスなものに惹かれてしまうのは、人間の宿命なのかもしれない。 店主の山下賢二さんに、ガケ
「古本屋は、"本の宇宙"。明治・大正・昭和に生まれた本が、今日も新たな読み手との出会いを待っている」 古書店をそう評したのは、京都は銀閣寺門前のほどちかくに店を構える「古書善行堂」の店主・山本善行(やまもと・よしゆき)さんだ。 山本さんは、1956(昭和31)年生まれの御年54歳。10代の終わりから古本の世界に目覚め、かれこれ40年近く古書店を巡る日々を送っている。「古本ソムリエ」の異名を持ち、古本に関する著書や雑誌の連載記事も数多い。 ここ10年ほどは、関西発・本と本屋さんを愛する人のためのリトルプレス『sumus』(スムース)の代表を務めている。『sumus 13号』(2010年2月刊)の「まるごと一冊晶文社特集」は、出版と書店の周辺にいる人々の話題となった。 その山本さんが、2009(平成21)年7月に、満を持して「古書善行堂」を開店させた。 だが山本さんは、古書人生のほとんどを、
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