読書橋本治氏の『あなたの苦手な彼女について』(ちくま新書)についての感想を書いてみたいと思う。この本はusukeimada氏からの紹介。一つの価値体系が転換した時、「転換前の世界」から「転換後の世界」に移った人間と「転換後の世界」しか知らない人間との間には、大きな断絶が生じている。一方の人間にとってはあまりに自明であり敢えて問題にすることさえ馬鹿馬鹿しいことが、もう一方の人間にとっては全く理解されていない。もっと言えば、理解はできるが関心がなく、その結果、問題にされない(軽視される)ことは良くある。例えば、高度経済成長の前に少年時代を送った世代と高度経済成長後に生まれた世代で「豊かさ」について論じようと思えば、まずはお互いの問題意識を確認する作業から入らなければならないだろう。その作業を怠って、いきなり「若い世代は生まれた時から物質的に豊かで、非常に恵まれているんだよ」なんてことを上の世代