エイズウイルス(HIV)感染者が5月、高知市内の病院で内科を受診しようとしたところ、感染を理由に断られたことが、エイズ治療の中核を担う高知大学医学部付属病院への取材で明らかになった。県内では昨秋、別の感染者が同様の理由で、歯科診療所の受診を拒まれている。県は、医療従事者の啓発に乗り出した。 高知大学医学部付属病院(南国市)によると、高知市の病院で5月、風邪をひいて内科を受診しようとしたHIV感染者が「エイズなら高知大の付属病院で治療を」と窓口で言われ、受診をあきらめた。昨秋は、別のHIV感染者が、かかりつけの歯科診療所で感染を告げたところ、歯科医師は「外に知られる可能性があるので」と以後の治療を断ったという。歯科診療所の風評を意識した発言とみている。 エイズ治療については、厚生労働省(旧厚生省)が1993年、各都道府県に拠点病院を2カ所以上選定するよう求め、県内では5病院が指定されている。