「返済できないなら携帯を作れ」。大阪府内に住む自営業、吉田弘(60)=仮名=は、ヤミ金業の男から、こう命じられた。 吉田は自らが経営する会社の資金繰りに行き詰まり、銀行から融資が受けられなくなった。ヤミ金融を頼るようになったのは今から4年前だ。当初、数十万円だった借金は、半年で倍以上に膨れ上がり、利息の支払いもできなくなるのにそれほど時間はかからなかった。そんな状況で持ち掛けられた条件に、吉田は応じざるを得ないと感じた。 用意した携帯電話は計20台。自らの会社の法人名義で契約し、電話機はヤミ金業者の指定場所に送った。 吉田がつくらされた携帯は、「飛ばし携帯」と呼ばれる。契約者が犯罪組織と直接結びつかないため、ヤミ金融や振り込め詐欺、薬物の取引などさまざま犯罪に利用される。身元を特定しにくいため、犯罪組織にとって、今や必須のツールとなっている。 警察庁によると、全国で携帯電話を転売目的で契約