今冬の電力需給が逼迫(ひっぱく)したのに伴って電力価格が一時急騰し、新電力が苦境に陥っている。 楽天グループの楽天でんきが新規契約を停止し地方自治体が出資する地域新電力の中には事業停止を決めたところも出てきた。電力自由化で700社近くの新電力が市場参入したが、今後は業界再編も予想される。 電力自由化を進める経済産業省は契約者への影響を考慮し、新電力の支援に乗り出している。契約者の保護は不可欠だが、それを事業者の救済にまで広げることは自由化の目的に逆行する。 自社電源を持たない新電力は取引所で電力を調達し、それを契約者に販売している。今回のように価格が高騰すると、経営が成り立たなくなる転売型の事業形態は基盤が脆弱(ぜいじゃく)だ。電力自由化で新規参入を促すだけでなく、今後は撤退ルールも整備する必要がある。 昨年末から断続的に続いた寒波の影響で電力需給が逼迫し、大手電力の設備使用率は軒並み90