日本は、もっと“ものづくり”で世界に貢献できると思う。そのためには「失敗を恐れ、挑戦を避ける企業体質」という壁を乗り越えることが求められる。この壁を見事に乗り越えた企業の成功事例の一つとしてコマツを挙げたい。ベンチャー企業としてではなく、ものづくり老舗としての本業でこの壁を乗り越えたからであり、従業員の意識改革から企業体質を変え、建設機械の分野において世界基準のビジネスモデルを構築したからである。 この背景には、2001年に「ダントツ商品」開発プロジェクトを開始、利益率が下がっても車両管理システムを標準装備することを決断した社長(当時)の坂根正弘氏という、ものづくりイノベーターの存在があった。コマツといえば、ブルドーザー、油圧ショベル、ダンプトラックなどの建設機械メーカーである。車両管理システムのそもそもの発想は車両の盗難防止だったというが、その目線には「きめ細かいサポートが顧客の信頼につ