「はやぶさ2」が持ち帰ったリュウグウ試料の一部が、詳細記載と初期分析のチームに引き渡された。大量の水や有機物を含むことが改めて確認されている。 【2021年6月18日 JAXA】 昨年12月に「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウの試料は、JAXA宇宙科学研究所(ISAS)の地球外物質研究グループによって、顕微鏡観察と分光・計量、カタログへの記載という第1段階(フェーズ1)の「キュレーション作業」が約6か月にわたって行われてきた。これまでに約1mm以上の粒子が203個選別され、個別にカタログに記載されて1粒ずつ容器に保管されている。また、粒の小さな微粒子や粉体の試料は7つの容器にまとめてカタログ化された。 フェーズ1キュレーションが終わった個別粒子の輸送コンテナ。凹面のサファイアガラス2枚の間に試料をはさんで固定している。ケース内には窒素ガスが封入され、地球環境による汚染を防いだ状態で
日本の探査機「はやぶさ2」が採取した小惑星「リュウグウ」のサンプルが、本格的な分析を担当する研究グループに引き渡され、先行して分析を開始した大学のグループは大量の水と有機物の存在を示すデータの検出に成功したことを明らかにしました。 日本の探査機「はやぶさ2」は去年12月にカプセルが帰還し、中にあった小惑星「リュウグウ」の砂や小石のサンプルは、本格的な分析を行うために順次、国内の大学や研究機関の8つの研究グループに引き渡されていて、17日は関係者が集まって記者会見が行われました。 この中では、8つのグループで分析するサンプルは、小惑星から持ち帰った5.4グラム余りの砂や小石のうち、合わせておよそ0.5グラムになることが説明されました。 また、岡山大学の研究グループは今月2日にサンプルを受け取って先行して分析を開始していて、すでに大量の水と有機物の存在を示すデータの検出に成功したことを明らかに
小惑星リュウグウを観測した探査機「はやぶさ2」のデータから、水に浮くほど低密度の岩塊が見つかった。太陽系誕生時に塵が集まってできた最初期の物質かもしれない。 【2021年6月1日 JAXA】 太陽系誕生直後の物質の情報を残しているという意味で、小惑星は始原的な天体と言われることが多い。だがそんな小惑星でも、物質が集積して自己重力や放射性元素の崩壊熱によって変性したり、衝突による破壊と再集積を繰り返したりしている。塵が集まってできた、本当の意味で最初の太陽系天体である微惑星は、フワフワした低密度の物質だっただろうと考えられているが、その存在はまだ確認されていない。 立教大学の坂谷尚哉さんをはじめとする小惑星探査機「はやぶさ2」サイエンスチームの発表によると、そんな微惑星の組成を維持したかけらが小惑星リュウグウの表面に残されていて、「はやぶさ2」が回収したサンプルの中にも含まれているかもしれな
Ia型超新星の観測データからハッブル定数を算出したところ、観測する距離によって異なる値となった。宇宙の膨張に関わる物理法則を見直す必要があるかもしれない。 【2021年5月21日 国立天文台】 宇宙が誕生した138億年前から現在に至るまで宇宙空間は膨張し続けている。その膨張率は、宇宙に存在する物質やダークマターによる重力と、未知の作用であるダークエネルギーによって、時間の経過と共に変化してきた。現在の宇宙における膨張率を表す「ハッブル定数」は、宇宙論における重要なパラメーターだ。 宇宙膨張の歴史のイメージ(提供:国立天文台) ハッブル定数の決定は年々精密になってきているが、導出に使う手段によって異なる値が出てしまうという問題が近年浮かび上がっている。代表的な2つの手段は、近傍の銀河の移動速度を調べる方法、そしてビッグバンの残光である宇宙マイクロ波背景放射を元に導出する方法だ。2つの手段で得
日本のアマチュアの天文家が見つけた新しい星が、およそ2か月にわたって徐々に明るさを増して肉眼でも観測できるようになり、珍しい現象だとして関係者の間で話題になっています。 三重県亀山市のアマチュア天文家、中村祐二さんがことし3月18日にカシオペヤ座の方向に見つけた新しい星は、およそ2か月にわたって徐々に明るさを増し、今月9日には当初よりもおよそ50倍の明るさとなって肉眼で観測できる5等級程度になりました。 新しい星は年間、数個から十数個程度見つかっていますが、数日間、明るさを増してその後、暗くなるケースが多く、数か月にわたって明るさを増して肉眼でも見えるようになるのは珍しいということです。 国立天文台などが分析を行ったところ、これまで暗かった星の表面で、大きな爆発的な現象が起きたと考えられ、急激に明るさを増す、「新星」の一種とみられるということです。 国立天文台の山岡均准教授は「とても珍しい
ワシントン(CNN) 米国防総省は、制御不能になった中国の大型ロケット「長征5号B」がこの週末にも大気圏に再突入するとみて、追跡を続けていることを明らかにした。残骸の落下地点をめぐる懸念も浮上している。 国防総省報道官の発表によると、長征5号Bは8日前後に地球の大気圏に突入する見通しで、米宇宙軍が軌跡を追跡している。 正確な突入地点は数時間前になるまで特定できない見通しだが、第18宇宙管制隊はロケットの位置に関する最新情報を毎日ウェブサイトに掲載する。 長征5号Bは、中国が宇宙ステーションの部品の打ち上げに使用した。宇宙ごみは大半が大気圏で燃え尽きる。しかし22トンもある長征5号Bの場合、大型部品が人の住む場所に落下すれば被害が発生する恐れもある。 しかし米ハーバード大学の宇宙物理学者ジョナサン・マクダウェル氏はCNNの取材に対し、「警戒すべき状況だとは思わない。何らかの被害が生じたり、誰
「はやぶさ2」が持ち帰ったリュウグウ試料の赤外線スペクトルから、水や有機物にみられる吸収が検出された。また、「はやぶさ2」の小型カメラが劣化により故障したことが報告された。 【2021年4月30日 JAXAはやぶさ2プロジェクト】 2020年12月に「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウの試料は現在、JAXA宇宙科学研究所の地球外試料キュレーションセンターで、大きめの粒子と粒の細かい試料(バルク試料)に分けられ、それぞれ高精細の顕微鏡を使った分析が行われている。 4月27日に行われた記者説明会では、バルク試料の赤外線分光測定の結果や、「はやぶさ2」および地上望遠鏡によるリュウグウの科学観測の成果、さらに「はやぶさ2」本体の状況について報告が行われた。 リュウグウ試料のスペクトルから水、有機物などの特徴を検出 キュレーションチームでは、リュウグウ試料に赤外線を当てて反射光を分光する測定を
火星の地表に着地した米航空宇宙局(NASA)の小型ヘリコプター「インジェニュイティ」。火星探査車「パーシビアランス」から捉えた画像。NASA提供(2021年4月6日入手)。(c)AFP PHOTO / NASA/JPL-Caltech/HANDOUT 【4月8日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は火星で初飛行の準備を進める超軽量小型ヘリコプター「インジェニュイティ(Ingenuity)」の最新写真を公開した。 写真は探査車「パーシビアランス(Perseverance)」から撮影されたもので、インジェニュイティがパーシビアランスから離れ、4本の脚部で火星に着地している様子などが捉えられている。(c)AFP
M87ブラックホール近傍の偏光観測データをもとに合成された画像。白線の向きは偏光の方向と一致し、ブラックホール周辺の磁場の向きと関係している。Credit:Event Horizon Telescope Collaboration 「私たちが今見ているのは、磁場がブラックホールの周りでどのように振る舞うか、そしてこの非常に小さい領域から銀河をはるかに超えて広がる強力なジェットがどう噴出するかを理解するためにとても重要な証拠です。」EHT偏光作業班の取りまとめ役で、オランダ・ラドバウド大学のモニカ・モシチブロツカ助教は、このように述べています。 2019年4月10日、科学者たちはブラックホールの最初の画像を公開し、ブラックホール・シャドウという暗い領域と、その周りの明るいリング構造を明らかにしました。それ以来、EHTプロジェクトは、2017年のM87観測データを深く解析し、M87ブラックホー
[English] ブラックホールの画像を初めて撮影したイベント・ホライズン・テレスコープ (Event Horizon Telescope; EHT) プロジェクトが、楕円銀河 M87 の中心にある巨大ブラックホールのごく近傍で、電波の偏光を捉えることに成功しました。これは、ブラックホールの周りに整列した磁場が存在することを初めて直接的に示す成果です。この観測結果は、5500万光年離れた銀河の中心からどうしてパワフルなジェットを噴出できるのかを説明する鍵となります。 [画像1] M87ブラックホール近傍の偏波画像。白線の向きは偏光の方向と一致し、ブラックホール周辺の磁場の向きと関係している。 画像クレジット:Event Horizon Telescope Collaboration 「私たちが今見ているのは、磁場がブラックホールの周りでどのように振る舞うか、そしてこの非常に小さい領域から
太古の火星にあった水の大半は地殻の鉱物に閉じ込められているとする研究が示された。大気から宇宙へと散逸したという定説に見直しを迫る結果だ。 【2021年3月23日 NASA JPL/カリフォルニア工科大学】 数十億年前の火星表面には豊富な水が流れ、湖や大洋を形作っていたことが地質学的な証拠からわかっている。当時の火星には、100~1000mの深さで全球を覆えるほどの大量の水が存在したと考えられていて、これは大西洋の海水の量の約半分に達する。しかし、現在の火星の表面には膨大な量の水は見当たらず、両極の極冠などに水の氷がわずかに存在するのみだ。 NASAの探査機「バイキング」が撮影した火星(提供:NASA/JPL-Caltech/USGS) この「消えた水」は、火星の重力が小さいために、大気から少しずつ水蒸気が宇宙空間に逃げ出して失われた、というのがこれまでの定説だった。しかし近年では、火星の大
新年度の打ち上げを目指して開発が進められている日本の新しい主力ロケット「H3」の、打ち上げまでの手順を確認するリハーサルが鹿児島県の種子島宇宙センターで行われ、ロケット全体の姿が初めて公開されました。 H3ロケットはH2Aの後継機としてJAXA=宇宙航空研究開発機構と三菱重工業が開発している日本の新しい主力ロケットで、新年度に初号機を打ち上げる計画です。 鹿児島県にある種子島宇宙センターでは、ロケットを組み立てた建物の大きな扉が開いて、移動式の発射台に載せられたH3の初号機がゆっくりと発射場に移動し、ロケット全体の姿が初めて公開されました。 H3ロケットは全長およそ63メートル、直径5.2メートルほどと、これまでの日本のロケットでは最大で、2本の補助ロケットが取り付けられています。 リハーサルではロケットに燃料を充てんしてエンジンに点火する直前までカウントダウンを行い、機体の機能や打ち上げ
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