私の今も忘れられないアルバイトは、大学に入学したときのことだから、今から三十年以上も前のことになる。私は何か目的があったわけでも、何かを勉強したかったわけでもなく、ただ単純に東京に出てみたくて北海道から東京にある大学に進学した。 しかし、その大学は一年生のときだけ、埼玉県の大宮市にある校舎で学ばなければならなかった。私は仕送りをあまりしてもらえなかったので、その校舎の裏手にある部屋代が格安の学生寮に住むことにした。しかし、その校舎の周辺はほとんど家も店もなく、寮生たちのほとんどは自炊しなければならなかった。お金のない私は食費を浮かすためにも食事つきのアルバイト先を探したのだが、繁華街は大宮駅周辺しかなく、寮から大宮駅に行くにはバスで二十分ほどもかかる。当時は、まだコンビニがあること自体珍しく、ファミリーレストランも見かけることがほとんどない時代だった。だから、学生のアルバイトといえば、喫茶
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