“The Cinema of Attractions: Early Film, Its Spectator and the Avant-Garde”, Tom Gunning 1990年代に興隆した初期映画研究の立役者のひとりであるトム・ガニングによる86年の論文。ガニングによれば、06年頃までに作られた初期映画は、のちに主流となる物語映画の未熟な前段階なのではなく、「アトラクションの映画」と呼ぶべき別の種類の映画である。つまり、ストーリー・テリングの魅力に基づき、観客が窃視症的に没入するタイプの映画ではなく、ショックや驚きといった直接的な刺激を強調するスペクタクルによって、観客の注意をじかに引きつける露出症的な映画である。また、この論文では、単に映画作品内部の様式(クロース・アップや数々の映画的操作)だけでなく、初期映画が主に演し物のひとつとして上映されていたヴォードヴィルとの関連という