意思決定のプロセスでいつも感情に左右されがちと嘆いている人にとっては朗報だ。本書によると必ずしも感情的になるのは悪い事ではないようだ。 仕事や日常生活の中で私たちは常に何らかの決定を迫られて日々生きている。そして、意思決定の際に理性と感情のせめぎ合いを経験し、感情を排して合理的に決断できない自分に少なからず自責の念を感じているのではないだろうか。しかし、本書の著者エヤル・ヴィンターは、感情的行動は予想以上に合理的であるばかりでなく、むしろかなり高度な戦略ですらあると説く。常に冷静沈着で感情論を排する『スター・トレック』のスポックのようになれないからといって自分自身に引け目を感じる必要はないのだ。 意思決定とは、ふたつの相反するメカニズムが激しく争う過程だと思われがちだ。(中略)二、三十年前まで多くの科学者がこのような見方をしていたが、単純化しすぎているしまちがってもいる。 実際にカリフォル