暴力と紛争の“集団心理” 作者:縄田健悟ちとせプレスAmazon 本書は社会心理学者縄田健悟によるヒトの暴力についての社会心理学的知見,特に集団モードで生じる暴力についての知見を丁寧にまとめた本になる.私としてはヒトの暴力についての進化心理学的な取り組み(そのような行動傾向はどのように進化したのか,どのような適応的機能があるのか,あるいはないのか)についてはいろいろ読んできたものの,社会心理学的な取り組み(そのような行動はどのような状況で生じるのか)についてはその時々に断片的な知識を読んできただけであり,一度きちんとまとめて読もうと思って手に取った一冊になる. 序章 暴力と紛争の“集団心理” 本書ではヒトの本性としての「集団心理」を取り扱う旨が最初に宣言される.ここでは進化心理的な側面も含めて「集団心理」について整理されている.また社会心理学は基本的に「ヒトの行動は状況次第だ」と考える学問