ベジタリアンやビーガンといった言葉をよく目にするようになりましたが、日本ではまだ「一部の極端な変わった人」とする風潮があるなか、この春、哲学・倫理学を専門とする研究者の田上孝一さんによる『はじめての動物倫理学』(集英社新書)が刊行されました。 本書は、倫理学の基礎解説から始まり、肉食やペットなど具体的なテーマを切り口に、いま求められる動物と人間の新たな関係のあり方を問う、動物倫理学の入門書です。 今回は、社会哲学の研究者である稲葉振一郎さんを、対談相手にお迎えしました。動物倫理学という新しい学問は理論的、実践的にどんな問題意識を共有しようとするものなのか、語り合いました。 ※3月31日に本屋B&Bさんで開催された配信イベントを記事化したものです。 ■種差別批判と動物の権利 田上 ちょっとした経緯があって、今回の『はじめての動物倫理学』が発売された3月17日に、講談社のウェブマガジン「現代ビ