「(私たち)は、ドイツと同じく、敵国に出産を忌避させようとしたのです。敵国で子供が生まれたとしても、死んでしまうような極貧状態を作り出そうとしました」。イギリスの経済封鎖行政官であり、熱烈な国際主義者だったウィリアム・アーノルド・フォースターが、第一次世界大戦時のドイツへの経済封鎖を振り返って述べた言葉だ。 今、経済制裁が話題となっている。アフガニスタン、イラン、シリア、ロシアなどを思い浮かべられるだろう。 こうした状況で、ニコラス・ミュルデルは、新著『エコノミック・ウェポン:現代的戦争の道具としての制裁の台頭』(イェール大学出版)〔訳注:『経済兵器 現代戦の手段としての経済制裁』として邦訳〕を刊行した。本書は、歴史家以外にも必読の書籍だ。 ちなみに、著者ニック(@njtmulder)とはツイッター上での親密なフォロー関係であり、率直に言って親友でもある。以下は、批評というより顕彰だ。私は