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ブックマーク / econ101.jp (179)

  • マーク・コヤマ「制度変化において個人はどんな役割を果たすか:宗教改革におけるルターの役割」(2024年4月29日)

    社会科学研究ネットワーク(SSRN)の”the Handbook of New Institutional Economics”『新制度派経済学ハンドブック』に収録される、制度変化について扱った章を、ディシリー・ディシエルト(Desiree Desierto)との共著で書き上げた。 制度分析は個人を強調しない傾向にある。14世紀終盤から15世紀序盤にかけてのイングランドにおける農奴制の終焉といった展開は、農奴や貴族など一個人の行為や思想に左右されたものではなかった。産業革命は、ジェームズ・ワットやリチャード・アークライトを歴史から取り除いても生じただろう。制度分析の根底には、一個人よりもはるかに重要な、深層的・構造的要因が存在する、という前提がある。 重要な個人を無視するのは、経済史研究だけではない。英雄史観(Great Man Theory of History)は、学術の世界ではとっく

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    o_secchan 2024/05/07
  • タイラー・コーエン 「マクロ経済学における錯覚の変遷」(2023年8月23日)

    ミルトン・フリードマン(Milton Friedman)が登場するまでのアメリカ経済学界を振り返ると、貨幣(マネーサプライ)は(景気の変動に影響を及ぼす要因として)大して重要じゃないというのが第一線で活躍するマクロ経済学者の間でかなりの合意を得ていた見方だった。 フリードマンは、デビッド・メイゼルマン(David Meiselman)だとかアンナ・シュワルツ(Anna Schwartz)だとかとの共同研究を通じて、貨幣(マネーサプライ)はかなり重要だということを示すれっきとした証拠を大量に提示した。そして、大勢(おおぜい)がそのことに同意した。皆が皆、筋金入りのマネタリストに転向したわけではなかったにしても。 早くも1982年になると、マネタリストの勢いに陰りが見え始めた。マネーサプライの管理に重きを置く金融政策が言うほど功を奏していないことが判明し出したのだ。貨幣っててんで重要じゃない

    タイラー・コーエン 「マクロ経済学における錯覚の変遷」(2023年8月23日)
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    o_secchan 2023/12/15
  • アダム・トゥーズ「ニコラス・ミュルデル著『経済兵器』書評:経済制裁の実態史」(2022年2月9日)

    「(私たち)は、ドイツと同じく、敵国に出産を忌避させようとしたのです。敵国で子供が生まれたとしても、死んでしまうような極貧状態を作り出そうとしました」。イギリスの経済封鎖行政官であり、熱烈な国際主義者だったウィリアム・アーノルド・フォースターが、第一次世界大戦時のドイツへの経済封鎖を振り返って述べた言葉だ。 今、経済制裁が話題となっている。アフガニスタン、イラン、シリア、ロシアなどを思い浮かべられるだろう。 こうした状況で、ニコラス・ミュルデルは、新著『エコノミック・ウェポン:現代的戦争の道具としての制裁の台頭』(イェール大学出版)〔訳注:『経済兵器 現代戦の手段としての経済制裁』として邦訳〕を刊行した。書は、歴史家以外にも必読の書籍だ。 ちなみに、著者ニック(@njtmulder)とはツイッター上での親密なフォロー関係であり、率直に言って親友でもある。以下は、批評というより顕彰だ。私は

    アダム・トゥーズ「ニコラス・ミュルデル著『経済兵器』書評:経済制裁の実態史」(2022年2月9日)
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    o_secchan 2023/11/27
  • マーク・ソーマ 「キリ番バイアス」(2013年10月18日)/ タイラー・コーエン 「インセンティブの力」(2010年10月4日)

    ティモシー・テイラー(Timothy Taylor)のブログエントリーより。 “One Million Page Views and Round Number Bias” by Conversable Economist: 今週のはじめに、ブログ(Conversable Economist blog)の閲覧数(アクセス数)が1,000,000回(100万回)に到達した。・・・(略)・・・言うまでもなかろうが、ブログの性質を踏まえると、閲覧数が100万回に達したのを何の疑問も抱かずに諸手を挙げてただただ祝うわけにはいかない。100万回という数字に着目するというのは、「キリ番バイアス」の例の一つなのではなかろうか? 閲覧数を云々(うんぬん)するというのは、容易には測れない(数値化し難い)側面こそが肝心なのにもかかわらず、容易に測れる(数値化し易い)側面についつい目を向けてしまう例の典型と言

    マーク・ソーマ 「キリ番バイアス」(2013年10月18日)/ タイラー・コーエン 「インセンティブの力」(2010年10月4日)
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    o_secchan 2023/10/19
  • ジョセフ・ヒース「白人のマウント合戦:コフィ・ブライトの仮説を拡張する」(2023年8月25日)

    アメリカでは人種的正義を求める闘いに馳せ参じれば並外れた文化的名声を獲得できるため、世界中で模倣者を惹きつける傾向を生んでいる リーアム・コフィ・ブライトが『Journal of Political Philosophy(政治経済学ジャーナル)』に最近投稿した論文「白人のマウント合戦」での、アメリカの人種政治についての見解を大いに楽しませてもらった。まず最初に、この論文は査読の通過がほぼ不可能な形で執筆されているため、無事掲載されたこと自体に驚かされた。アカデミアにおける哲学論文は、査読者全ての怒りを鎮めることで、あたかも委員会によって書かれたように見えてしまう問題に悩まされている。さらに重要なのが、私見だが、アメリカ文化戦争に、ブライトのようなイデオロギー的に客観的なスタンスを示すことの極めての有用性である。 ハッキリ言っておくが、私はブライトの見解のほとんどに同意できない。しかし、彼

    ジョセフ・ヒース「白人のマウント合戦:コフィ・ブライトの仮説を拡張する」(2023年8月25日)
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    o_secchan 2023/09/26
  • ノエル・ジョンソン&マーク・コヤマ「近代国家と経済成長にはどんな関係があるのか:国家行使能力(State Capacity)に関する経済史研究のサーヴェイ」(2017年4月1日)

    近年の政治経済学と開発経済学における研究は揃って、経済成長を実現させた国とさせられなかった国を分かつ要因を説明する上で、「国家行使能力」(state capacity)の重要性を強調している。 アブストラクト 「国家行使能力」(State capacity)は、開発経済学政治経済学で最も議論される概念の1つとなってきている。このサーヴェイでは、近代国家が行使能力を獲得するプロセスについて、経済史研究が重要な洞察を提供していると論じる。ヨーロッパとアジアの様々な国における国家建設のプロセスを検討することで、国家行使能力と経済成長の関係を「解きほぐす」(decompress)ことができる。稿での分析は、国家建設プロセスが多様な性質を持っていることを強調する。また稿では、国家行使能力と経済成長を関係づけるメカニズムの解明にとって手助けとなる近年の研究に焦点を当てる。 [1] … Conti

    ノエル・ジョンソン&マーク・コヤマ「近代国家と経済成長にはどんな関係があるのか:国家行使能力(State Capacity)に関する経済史研究のサーヴェイ」(2017年4月1日)
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    o_secchan 2023/07/31
  • コーエン・N・チューリング「ケインジアン vs マネタリストの区別はもはや時代遅れである」(2023年5月23日)

    この記事では、ケインズ主義とマネタリズムの区別は、(共にワルラス経済学に依拠していることから)現代のマクロ経済論争を理解する上で、時代遅れであると論じる。今、有用な区別は、(ケインズ主義とマネタリズムの統合からなる)新古典派連合(Neoclassicals)と、新オーストリア学派の区別である。この区別は、経済における公的債務の役割についてのそれぞれ異なる見解に立っている。 先週、ロバート・ルーカスが亡くなった。彼の研究は、マクロ経済学に永遠の変化をもたらした。「合理的期待」という考え方は、マネタリズムとニューケインジアンの発祥の地であるシカゴ大学やMITで使われているマクロ経済学モデルに浸透している。この記事では、ケインズ主義とマネタリズムの区別は、(共にワルラス経済学に依拠していることから)現代のマクロ経済論争を理解する上で、時代遅れであると論じる。今、有用な区別は、(ケインズ主義とマネ

    コーエン・N・チューリング「ケインジアン vs マネタリストの区別はもはや時代遅れである」(2023年5月23日)
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    o_secchan 2023/07/02
  • アンドルー・ポター「リベラリズムを蝕むものはなにか?」(2023年4月6日)

    先日、とあるグラフがSNS上で物議を醸した。 キャスリーン・ボイル「どれでもいいので信じてみてください。あなたに何が足りていないのかがわかります。」 https://twitter.com/KTmBoyle/status/1640525828621516801 アンドリーセン・ホロウィッツ [1]アメリカのベンチャーキャピタル のパートナーであるボイルは、これら各種指標を、一連の報告書や研究へのリンクとを組み合わせ、現代に蔓延る衰退論――特に若者の間での顕著な不安や、絶望感の高まりといったさまざまな問題との関連を示した。 ベビーブーマー世代がかつて言っていたように、風向きを知るのに、気象予報士はいらない [2]ボブ・ディランの歌詞より、世の中の動向を知るのに、専門家の知識は必要ないということ 。今の欧米諸国は抑うつ気味なのだ。 政治体制はありえないほどに分極化し、経済は次から次へと危機を

    アンドルー・ポター「リベラリズムを蝕むものはなにか?」(2023年4月6日)
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    o_secchan 2023/06/16
  • ジョセフ・ヒース「イデオロギー論の諸問題」(2001年10月1日)

    Vector continuous line drawing human heads with opposite thinking concept illustration 目次 1 イデオロギーと非合理性 2 集合行為問題 3 信頼 4 適応的選好 5 結論 現代の社会批評において「イデオロギー」概念が中心にあり続けているのは、カール・マルクスと青年ヘーゲル派のしつこく残り続けている遺産の1つである。「イデオロギー」概念は、個人が、自らを抑圧し搾取する制度の維持や再生産にしばしば自主的に加担するという、極めて特殊な現象を説明するために導入された。極端な場合、そうした個人は、自らにとって利益となるような制度変革を試みる他人の努力に、積極的に抵抗することさえある。よって明らかに、〔こうした状況への〕なんらかの説明――個人がいかにして自己利益の把握に系統的に失敗してしまうのか、あるいは自己利益

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    o_secchan 2023/06/08
  • ダイアン・コイル 「富裕層への課税を強化するには? ~ケネス・シーヴ&デイヴィッド・スタサヴェージ(著)『金持ち課税』を読んで~」(2016年5月20日)

    富裕層への課税を強化したいって思う? 私の答えは「イエス」・・・だったので、『Taxing the Rich:A History of Fiscal Fairness in the United States and Europe』(邦訳『金持ち課税』)を早速読んだ。著者は、ケネス・シーヴ(Kenneth Scheve)&デイヴィッド・スタサヴェージ(David Stasavage)の二人。目が開かれる一冊だ。 『Taxing the Rich:A History of Fiscal Fairness in the United States and Europe』 まず何よりも興味を引かれるのは、所得税の最高税率の歴史的な変遷だ。200年以上に及ぶ歴史を振り返ってみると、所得税(および相続税)の最高税率(20カ国の平均)が大きく変動した局面というのはわずか2回しかない。1920年代から1

    ダイアン・コイル 「富裕層への課税を強化するには? ~ケネス・シーヴ&デイヴィッド・スタサヴェージ(著)『金持ち課税』を読んで~」(2016年5月20日)
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    o_secchan 2023/05/20
  • タイラー・コーエン 「ハンサムな男性にとってお金は邪魔?」(2007年4月22日)

    男性の顔写真――顔写真に添えられているプロフィールには、その男性がどんな職業に就いているかが記されている――を女子大学生に見せて、長く付き合う相手としてどのくらい魅力を感じるかを評価してもらった。結果はというと、見た目がいい男性ほど、評価が高い傾向にあったし、年収が高い男性(年収が高い職業に就いている男性)ほど、評価が高い傾向にあった。大事なのは、ここからだ。見た目の魅力と年収の間に思いもよらない結びつきが見出されたのだ。見た目がよくて年収が高い男性は、見た目がよくてそこそこの年収の男性よりも、低く評価されたのである。 全文はこちら。文脈は違うが、「あんなに混んでるところには、誰も行かんよ」というヨギ・ベラ(Yogi Berra)の発言が思い出されるところだ。 お金持ちでハンサムな男性たちにとって、魅力の評価で劣っているのが異性と肉体関係を結ぶ上で不利に働くかどうかはわからない。彼らに同情

    タイラー・コーエン 「ハンサムな男性にとってお金は邪魔?」(2007年4月22日)
  • タイラー・コーエン 「同じ仲間の喜ぶ顔が見たいから、あいつらの怒る顔が見たいから、あの候補者に投票しよう」(2016年7月28日)

    アミハイ・グレーザー(Amihai Glazer)の論文のアブストラクト(要旨)より。 有権者が選挙で誰(どの候補者)に票を投じるかをどうやって決めているかというと、自分と同じ好みの持ち主(同じ政治観の持ち主/同じ政党の支持者)を喜ばせたり、自分と違う好みの持ち主(自分とはそりが合わない政治観の持ち主/自分が支持している政党を嫌っている人たち)を怒らせたりするのが決め手になっているのかもしれない。有権者がそのような動機で票を投じているとしたら、選挙に関わるその他の現象――(各自の一票が選挙結果を左右する可能性なんてほとんどないにもかかわらず)投票率が思いのほか高いこと、自分が支持しているわけではない候補者に票を投じること(「戦略的投票」)、(中位投票者定理が説くところに反して)それぞれの候補者が掲げる公約が似通っていないこと――も無理なく説明することができる。 2008年にPublic C

    タイラー・コーエン 「同じ仲間の喜ぶ顔が見たいから、あいつらの怒る顔が見たいから、あの候補者に投票しよう」(2016年7月28日)
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    o_secchan 2023/05/08
  • タイラー・コーエン 「女性の労働参加がマクロ経済の質を変えた?」(2019年3月19日)

    稿では、女性の労働参加(労働供給)に起きた変化が ①労働生産性(労働者1人あたりの生産量)の伸び率、②TFP(全要素生産性)の伸び率 [1] 訳注;実質GDP(生産量)の伸び率のうち、労働や資といった生産要素の投入量の変化によって説明できない部分。、③景気循環の特徴にいかなる影響を及ぼしたかを検証した。まずはじめに、女性の労働供給の増加(労働参加率の上昇、労働時間の増加)は、1970年代に関しては一国全体の労働生産性の伸びの鈍化に一役買うことなったようだ。しかしながら、1980年代初頭以降になると、(女性の教育水準が上がり、女性が仕事の経験を積むにつれて)女性の労働生産性が男性の労働生産性に近づいたおかげもあって、女性の労働供給の増加はTFP(全要素生産性)の伸び率を引き上げるのに大いに貢献したようである。次に、「大平穏期」に景気と総労働時間の連動性が弱まった [2] 訳注;景気が良く

    タイラー・コーエン 「女性の労働参加がマクロ経済の質を変えた?」(2019年3月19日)
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    o_secchan 2023/05/06
  • エスター・アレナス=アロヨ、他「オンラインメディアと思春期のメンタルヘルス危機」(2023年4月9日)

    高速インターネットへのアクセスにより、15 歳から 19 歳の少女の行動および精神の健康上の問題が大幅に増加したことが示唆されています。 加えて、中毒性のあるインターネットの使用により、ティーンエイジャーが健康的な活動に費やす時間が減っています。この調査結果は、思春期のメンタルヘルスに対するオンライン メディアの影響に対処するための政策介入を求めています。 (著者情報) Esther Arenas-Arroyo ウィーン経済・経営大学 助教授 Daniel Fernández Kranz IE大学 准教授 Natalia Nollenberger IE大学 助教授 過去10年間で、ティーンエイジャーの自殺念慮や自殺未遂の割合が、いくつかの国で大幅に上昇しています。このコラムでは、スペインの思春期のメンタルヘルスに対する高速インターネットの拡大の影響を調べました。その結果、高速インターネット

    エスター・アレナス=アロヨ、他「オンラインメディアと思春期のメンタルヘルス危機」(2023年4月9日)
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    o_secchan 2023/04/14
  • ダロン・アセモグル、他「産業用ロボットが労働者に:勝者と敗者」(2023年3月31日)

    コラムでは、オランダのデータを用いて、直接的に影響を受ける労働者は収入と雇用率の低下に直面する一方、その他の労働者はロボット導入によって間接的に利益を得ることを示します。 (著者情報) Daron Acemoğlu マサチューセッツ工科大学(MIT) 教授 Hans Koster アムステルダム自由大学 教授 Ceren Ozgen バーミンガム大学 准教授 理論的には、ブルーカラーの定型的な職業に従事する労働者など、代替可能な作業を行う「直接影響を受ける」労働者は、ロボット導入によって損失を被る可能性が高く、一方で、ロボットがもたらす生産性の向上は、補完的な作業を行う労働者に利益をもたらす可能性があるとされています。しかし、こうした一次保護に関する証拠は驚くほど少ないです。コラムでは、オランダのデータを用いて、直接的に影響を受ける労働者は収入と雇用率の低下に直面する一方、その他の労働

    ダロン・アセモグル、他「産業用ロボットが労働者に:勝者と敗者」(2023年3月31日)
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    o_secchan 2023/04/09
  • ニック・ロウ 「ところで、『政府の予算』と『家計の予算』ってどこがどう違うの?」(2017年10月27日)

    おそらくあなたも目にしたことがあるだろう。 経済学に疎い素人が「政府は、家計と同じように、収入の範囲内で暮らさなくちゃいけない」みたいな発言を口にしているのを。そして、経済学者がその発言主を指さして嘲笑し、「そんなのは誤謬だ」と断罪しているのを。 さて、質問だ。「政府の予算」と「家計の予算」ってどこがどう違うんだろう? その違いって重要なんだろうか? これらの問いに私なりの回答を寄せるのが今回のエントリーの目的だ。「教育的な」側面を持つエントリーといっていい。 「政府の予算」と「家計の予算」を分(わ)かつとされる違いのうちで、質的にも量的にも重要な意味を持つ違いって果たしてあるんだろうか? 私にはその点が明らかじゃないのだ。 1. 政府は、強制力を行使して(あるいは、強制力を行使する可能性をちらつかせて)収入(税収)を増やすことができる。家計は、そうはできない。 この違いは、政治絡みで重要

    ニック・ロウ 「ところで、『政府の予算』と『家計の予算』ってどこがどう違うの?」(2017年10月27日)
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    o_secchan 2023/04/07
  • ラルス・クリステンセン 「オークランド・アスレチックスが一時の勢いを失ったのはなぜ? ~効率的市場仮説に敬礼!~」(2012年2月23日)

    映画版の『マネー・ボール』を見終えたばかりだ。素晴らしい出来というのが私の評価だが、映画通のスコット・サムナー(Scott Sumner)や家内()とは違って、私は映画にはそんなに詳しくない。そんな私でもこの作品を興味深く味わえたのは、話の中で経済学がだいぶ大きな役割を果たしているからだ。マイケル・ルイス(Michael Lewis)作のかの見事な原作〔邦訳はこちら〕とは内容がかなり違っているが、私のような経済学オタクでも興味深く鑑賞できるくらいには原作の名残をとどめている。 このブログで金融政策や金融理論が主題にならないようなら、ロバート・トリソン(Robert Tollison)が言うところの「スポートメトリクス」(Sportometrics)についての私見が語られる公算が高いと思ってもらっていい。「経済学」に加えて「スポーツ」にも目がない私だが、私が愛してやまないそんな二つの対象が

    ラルス・クリステンセン 「オークランド・アスレチックスが一時の勢いを失ったのはなぜ? ~効率的市場仮説に敬礼!~」(2012年2月23日)
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    o_secchan 2023/03/28
  • アダム・トゥーズ「シリコンバレー銀行の経営破綻:テック企業の思い上がりと、低金利による相乗効果が大混乱を招いた経緯について」(2032年3月11日)

    少し前からFRB主導による世界的な利上げが進んでいるが、これによって何が歪み、壊れるのか? と話題となっている。シリコンバレー銀行の財政破綻は、アメリカ経済の中心部分で、利上げが重篤な銀行破綻を引き起こす様をまざまざと見せつけた。 シリコンバレー銀行は、けっして小さな銀行ではない。アメリカの金融システムで、16番目の規模の銀行だ(アメリカには大量に銀行がある)。今回の破綻は、2008年以降で、最大規模の破綻劇だった。 情報源:ウォール・ストリート・ジャーナル どうして今回の事態が起こったのだろう? 以下のノア・スミスの記事は、特に(ピーター・ティールらの)シリコンバレー側からの視点を理解するのに、非常に参考になる。 銀行の経営破綻において、直接の原因となるのは、ほとんどでケースで、取り付け騒ぎである。どんなに支払い能力がある銀行でも、大規模な取り付け騒ぎには耐えることはできない。SVBは、

    アダム・トゥーズ「シリコンバレー銀行の経営破綻:テック企業の思い上がりと、低金利による相乗効果が大混乱を招いた経緯について」(2032年3月11日)
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    o_secchan 2023/03/23
  • ノア・スミス「シリコンバレー銀行はなぜ経営破綻したのだろう?」(2023年3月11日)

    そして、今回の事件はスタートアップ企業や金融システムにどのような影響を与えるのだろう? 現在、テック・金融業界の双方で大きなニュースとなっているのが、シリコンバレー銀行の経営破綻だ。SVB(シリコンバレー銀行)は、知られているように、スタートアップ企業(「スタートアップ」とは認知度がまだ高くないテック企業)に多額の資金を融資し、スタートアップ企業や他のテック企業に様々な金融サービスを提供していた銀行だ。ここに良いまとめ記事がある。 「何が生じたか」と過去形を使ったのは、木曜日(つまり昨日)、多くの人が、SVBから預金を引き出したからだ。SVBは、お金の返却を求める人たち全員に支払うだけの現金を保有していなかったため、経営破綻することになった。銀行の経営破綻の予防と救済を行っている政府機関FDIC(連邦預金保険公社)は、SVBを管理下に置いた。 これは何を意味しているのだろう? まず、SVB

    ノア・スミス「シリコンバレー銀行はなぜ経営破綻したのだろう?」(2023年3月11日)
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    o_secchan 2023/03/22
  • ノア・スミス「マクロ経済学はいまだに揺籃期にある」(2022年11月8日)

    [Noah Smith, “Macroeconomics is still in its infancy,” Noahpinion, November 8, 2022] アイディアはたくさん,でもたしかな知見はそう多くない 先日,エド・プレスコットが81歳で死去した.彼は,いくつかの点で現代マクロ経済学の父にあたる人物だった.これを機に,科学としてのマクロ経済学の現状について書いてみるのもいいだろうと思う.このブログをはじめたときから何度もこの話題については書いてきたことだし,あらためてここで考えてみると面白いだろう. マクロ経済学の評判はひどいものだ.ぼくが好ましく思ってる人たちや尊敬してる人たちが,経済学の分野についてこんなことを言うのを目にする機会がよくある: Physicists are landing crafts on comets 100 of millions of mil

    ノア・スミス「マクロ経済学はいまだに揺籃期にある」(2022年11月8日)
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    o_secchan 2022/12/22