気温の高い夏のアイスは、少しでも油断していると、すぐにポタポタと溶け始めてしまう。あなたにも、360度満遍ない位置からスプーンですくったり、溶け始めた部分をなめて無かったことにしたり、様々な工夫を凝らしてなんとか溶けるのを阻止しながらアイスを食べた経験があるだろう。 ところが、近年、そうした格闘を不要とする「溶けないアイス」が、国内外で姿を見せはじめたようだ。溶けないアイスとはどのように作られているのか、その科学的な原理を考えながら解説した。 アイスが溶けるとはどういうことか 「溶けないアイス」を知る前に、まずはアイスが溶けるとはどのような現象なのかを理解しておこう。 アイスは主に3つの要素で成り立っている。気泡、乳脂肪、氷の結晶だ。気泡の周りに、凝集した乳脂肪がくっついたものと、氷の結晶が、牛乳のタンパク質や砂糖が溶けた液体中に分散している状態になっていると考えられている。こうした構造が