僕の手の平はけっこう大きくて、彼女の手は低めの背丈によく似合う小ささで、ほとんどすっぽりとおさまってしまう。 すごく寒い日でも僕の体温は高めで、会う前にぎゅーと手袋の中で握りこぶしに力を入れて、冷え性の手を暖めるために準備する。手袋を外して、彼女の頬に手の平を当てて、湯加減はどうですかの美容師気分。さっぶいよーと叫びたおしながら彼女は容赦なく僕の体温を奪い、たまにはにやーと笑ってもくれる。僕の持っているコートの一着に、腰のところのポケットがやたら大きいやつがあって、それを着て出かけた日には彼女の腕ごとポケットにつっこんでしまう。だんだん彼女の手が温かくなってくるのが嬉しくて、でも彼女自身はべつに手をつなぎたくてつないでるわけじゃないらしく、気が済むとすぐに手を離してしまうのでその予感が寂しくもあって、でもとりあえず指先をマッサージしてみたりして。 愛とか、よく分からない。なんとなく好意の最
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