Jan 12, 2006 ★ 池橋宏 『稲作の起源』 講談社選書メチエ(新刊) (9) テーマ:歴史分野の書籍のレビュー(111) カテゴリ:歴史 素直に拍手を贈りたい。 これくらい、知的興奮を刺激させてくれる選書は珍しい。このブログをご覧になられた方は、ただちに書店・図書館へ急行せよ!。あなたも目からウロコが落ちる思いをすることでしょう。 これまで、一世を風靡した、中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』(岩波新書)で提唱される「稲作雲南起源説」「照葉樹林文化論」。それらの系譜では、稲作は根栽農業から分離した焼畑農業による穀物栽培が母体とされた。そして、「1年性」のインディカ米(長粒)の播種が想定されていた。とはいえ、もともと湿地にすむ野生イネが、なぜ陸地にあがって陸稲(おかぼ)になって栽培されなければならないのだろう。また、種子を直接畑にまく直播栽培をやると、繁茂する雑草との戦いが、どれほど困