【ベルリン=黒沢潤】ポーランドのワレサ元大統領が共産党政権時代、秘密警察のスパイだったとする告発本が同国で出版され、大論争となっている。出版を後押ししたのはワレサ氏の政敵であるカチンスキ大統領。ワレサ氏が繰り返し同大統領の民族主義的な強権手法を批判してきたことへの意趣返しの側面が強い。 告発本「ワレサと秘密警察」(780ページ)によれば、自主管理労組「連帯」が設立される前の1970〜76年、ワレサ氏は「ボレク」のコードネームを持つ秘密警察の協力者で、90年代の大統領時代には、自らの秘密文書を取り寄せ、政権との関係を示す部分を抜き取って返却したという。 ワレサ氏のスパイ疑惑はたびたび持ち上がっていたが、ワレサ氏が共産主義時代に、ノーベル平和賞を受賞するのを妨害するため、政権が偽造文書を作成していたことが裁判で認定されている。今回の告発本にスパイの“証拠”として掲載された資料の写真も不鮮明で、