ドイツは10月3日、再統一から20年を迎える。1989年のベルリンの壁崩壊から1年足らずで「歴史上、極めて希有(けう)な機会をとらえて実現できた」(ドイツ政府関係者)再統一だが、国内で20周年を祝う雰囲気は盛り上がりに欠けている。国外ではユーロ危機、国内ではなかなか埋まらない東西の経済・社会格差が影を落としているからだ。(ベルリンで 長戸雅子)消えない格差 首都ベルリンの南側に位置する旧東独のザクセン州ライプチヒ。反体制派の拠点だったこの地の教会で毎週月曜日に行われていた「平和の祈り」がデモに発展、東独政権に対する民衆運動「月曜デモ」として知られるようになってゆく。 ベルリンの壁崩壊直前の89年10月9日に行われたデモには7万人が参加。「われわれは国民だ」の叫びで知られる抵抗運動は壁崩壊の導火線となり、ライプチヒは再統一後「英雄都市」と呼ばれた。 しかし、街には当時の熱気をしのばせる活気は