伊勢湾に近い旧第一鈴鹿海軍航空基地(三重県鈴鹿市)跡地に現存する3棟の巨大な航空機格納庫の解体が今月下旬に始まる。市民団体が、土地を所有するNTT西日本、そして鈴鹿市に保存と平和利用を訴えているが、文化財としての価値を評価もされないまま姿を消そうとしている。戦争遺跡に対する理解には地域差があるが、「全国的にも貴重」との専門家の指摘もある格納庫が、全国の多くの人に知られぬまま消滅するのは納得できない。 ◇軍都の“象徴”3月までに解体 同基地は1938年、鈴鹿海軍航空隊として開設され、搭乗員の教育・訓練機関として計約3万人の航空兵を各実戦航空隊に送り出した。終戦直前に航空基地に転換され改称、本土決戦に備えた。 165万平方メートルの敷地内に五つの格納庫ができたのは40年前後。現存するのは幅75メートル、奥行き45メートル、高さ11メートルの2棟と幅38メートル、奥行き44メートル、高さ11メー