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ブックマーク / tanakahidetomi.hatenablog.com (32)

  • 若田部昌澄「日本のケインズ主義に貨幣理論がないのはなぜか」in『リフレが日本経済を復活させる』 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ

    昨日のトークイベントの席上で言及した、日のケインズ主義とマルクス主義のドッキングした形態で、そのため貨幣理論が軽視されている思想的起源として、杉栄一の『近代経済学の解明』(1950)を例示しました。 この観点から杉栄一もそうですが、その影響をうけた経済学者の多くが、インフレ・デフレを構造的な問題としてみなす傾向が強いことです。若田部さんの論説「日のケインズ主義に貨幣理論がないのはなぜか」(『リフレが日経済を復活させる』所収)はその点を欧米との比較をしながら詳細に論じています。 「対して日では長い間、市場経済への信頼という軸が弱かった。すでに述べたように日の経済論壇を支配したのは市場経済の失敗を強調するマルクス主義であり、経済への国家介入を自然かつ望ましいとみなす開発主義であった。日のケインズ主義はマルクス主義、開発主義と親和性が高く、それが中央から左にまたがる大きなブロック

    若田部昌澄「日本のケインズ主義に貨幣理論がないのはなぜか」in『リフレが日本経済を復活させる』 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ
  • 八木紀一郎「社会科学としての経済学 Political Economyの擁護』in『河上肇記念会会報』111号

    今回の『河上肇記念会会報』には引き続き河上肇の夭折した長男河上政男の日記が収録されていて当時の若者の心情がよくわかる。この河上政男の日記はまとめて誰か注釈をきちんとつけて出版するといいのではないか? 他には八木紀一郎先生の論説が、例の学術会議のおける経済学の「参照基準」問題をテーマにしていて、「政治経済学」を擁護する立場から興味深い内容を展開している。ただ新古典派経済学の手法を「そのようなものを社会科学といえるのか」というのは言い過ぎであろう。八木先生の重要視している「制度・文化・利害関係と勢力関係」などの課題も新古典派的な手法で取り組んでいる人たちも多いからだ。 ところで八木先生のいうPolitical Economyの特徴は、 1)社会的再生産の視点。「生産・交換・消費が時間的な過程のなかで行われ、それにより経済主体と彼らの取り結ぶ諸関係が変化をはらみながらも持続する。経済主体はこの再

    八木紀一郎「社会科学としての経済学 Political Economyの擁護』in『河上肇記念会会報』111号
  • 根岸隆先生、文化勲章受章(ネットで読める経済学史関連の業績リンク集)

    根岸隆先生が文化勲章を受章されました。おめでとうございます。以下では根岸先生の経済学史サイドからみた業績の簡単な紹介(以前、文化功労者にならえたときに書いたエントリー)と、それに加えていま現在、ネットでpdf書類で読める学史関係のリンク集を提供したいと思います。 ネットで読める根岸隆先生の経済学史関連の貢献 安井琢麿教授と一般均衡理論の発展 https://www.jstage.jst.go.jp/article/economics1950/23/1/23_1_19/_pdf 小島清教授と歴史学派 http://ci.nii.ac.jp/els/110009556920.pdf?id=ART0010002994&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1414145805&cp= 高田保馬博士と勢力説 htt

    根岸隆先生、文化勲章受章(ネットで読める経済学史関連の業績リンク集)
  • 姜 克実『石橋湛山』

    「ナショナリズムの超克」−姜先生によればこのテーマこそ石橋湛山が最後に残したメッセージだという。戦前からの小国主義の立場、特に政界の第一線を引退してから強まった脱冷戦的な発想を引き継ぐ石橋の思想であり、今日的な意義がある、我々が立ち向かわなければならない問題だ。この石橋湛山の生涯とその業績の全体像を明晰な文体と分析でまとめあげたこの著作は、いまの日社会に石橋が残したものを再検討する素材を十分に提供したものである。 書ではいままでの著者の石橋湛山研究の成果がふんだんに盛り込まれている。僕も姜先生の著作のほとんどを読んできたので、この一般にも読みやすい石橋の伝記は、いろんな意味で喜ばしい。特に今日でいうデフレ脱却論争ー金位解禁論争と言われるものーに至るまでの湛山の思想形成とその内容が、僕にはとても参考になった。 1 湛山の思想形成には日蓮宗的な宗教教義よりも、その初期には「血気の多い素朴

    姜 克実『石橋湛山』
  • 片岡剛士「“アベノミクス・マークⅡ”のすすめ」in『Voice』11月号

    片岡剛士さんの消費増税の影響の検証と今後の日経済の見通し、そして対策を提起したすぐれた論説。すでに僕とのトークイベントでも論説の内容と同じものを話されていましたが、活字媒体で読めるのは便利です。ぜひお手にとって一読してください。消費税増税の影響が深刻であり、それが日経済を再び悪循環に陥らせる可能性が高いことがわかるでしょう。要点を列挙。 1 実質GDP成長率の落込みが厳しい。マイナス7.1%(前期比年率)。特に内需の落込みは、前回の消費税増税、リーマンショック直後、東日大震災のときを大きく上回るマイナス11.4%の惨状である。その主因は民間消費の落込み。もろに消費税の悪影響である。民間在庫が増えているが、それは意図せざる在庫の増加、つまりはケインズ的な図式でおなじみの総需要の急低下を表現している。外需の内容もよくない(詳細は片岡論説参照)。 2 耐久消費財の落込みの深刻さの指摘。実

    片岡剛士「“アベノミクス・マークⅡ”のすすめ」in『Voice』11月号
  • 若田部昌澄「経済学史の窓から」in『書斎の窓』2013年7.8月号から現在まで連載中

    『書斎の窓』は毎号頂戴するのだが、実はまったく読んでなかったw。ところがこの前、若田部さんにお会いしたときに連載が始まって一年近く経つということをお聞きし、あわてて読みだした。経済学史の主要な話題をほぼ時系列に即して毎回ワンテーマで展開。時事的な話題と関連させたり、また最新の経済学史の研究成果を精力的に取り組んでいて、経済学史の入門として最適の連載でしょう。かっての名著『経済学者たちの闘い』を思い出しますが、現在のそれは10数年前と違って落ち着いた重厚な語り口になっていて、時の流れも個人的には感じましたw。 個人的に特に面白い回は、第一回の「アダムスミスの夢:経済学者は公平な観察者たりうるか?」。簡単にいうと経済学者は「公平な観察者」ではなく私的利害で発言しているのでは(少なくともそれと矛盾しない客観的発言しかしない)?という問題が、スミスの観点なども交えて提起されています。これはやはり若

    若田部昌澄「経済学史の窓から」in『書斎の窓』2013年7.8月号から現在まで連載中
  • カプランのソ連型共産主義経済論

    アレックス・タバロック 「サミュエルソンの過ち 〜ソビエト経済の将来に関する度重なる予測の誤り〜」というブログエントリーを読んで、そこにリンクされていたブライアン・カプランのソ連型共産主義の経済的側面についての解説を読んだ。 なぜソ連型共産主義経済が破綻したのかを、主にふたつの側面に絞って明らかにしている。 1)ソ連は1930年代に「産業化」を進めていったとするが、その内実は軍事産業化にすぎない。同時に農業部門の生産性は極端に低下した。富農たち(生産性の高い農業者たち)をシベリアの強制収容所に送るなどした結果、農業部門に残った国営の労働者たちには生産意欲がほとんどなかった。生産量が低下するなかで、中央からは計画的な割り当てがきた。そのため料不足が深刻になった。また消費を抑制し、資源を優先的に鉄鋼や石炭部門に配分したが、それは先進国でみられる工業部門の自律的な発展ではなく、軍事部門の拡大に

    カプランのソ連型共産主義経済論
  • 八田達夫の財政政策の失敗(1997年消費税増税時)の指摘

    八田達夫先生が、岩田規久男先生との共著『日再生に「痛み」はいらない』(東洋経済新報社)で述べた1997年の消費税増税による景気失速への発言です。当時は先行してさまざまな「減税政策」があったことも思い出しておきましょう。 (1)1990年代の景気は拡張していた。理由は政府の財政が拡張しているから。財政拡張により民間の設備投資も拡大。まだこの回復自体が不十分な中で97年の9兆円の増税が生じた(ちなみに今回2014年は10兆円規模)。 (2)増税の前年96年(いまだと今年だ!)に大蔵省は大々的な財政構造改革キャンペーンをはり、景気は回復したのだから財政を緊縮する必要を喧伝。97年に消費税増税、所得税特別減税廃止、健康保険料の引き上げで9兆円の増税を実施。これが景気を大きく屈折。 (3)この消費税増税による景気大幅後退説に対して大蔵省(いまも同じ理屈を財務省は採用)は、97年4〜6月の対前年同期

    八田達夫の財政政策の失敗(1997年消費税増税時)の指摘
  • マンデル・フレミングモデルの解説

    図はいま作成中 マンキューの『マクロ経済学』を利用してマンデル・フレミングモデルの簡単な説明をしておこう。 短期的な変動を扱う仕組みは、財市場と貨幣市場それを統合して経済全体のモデルを作っていくことで理解を深めることができる。マンデル・フレミングモデルでは財市場をIS曲線、貨幣市場をLM曲線で表現する。 いま小国開放経済の下で、完全な資の移動性が仮定されている。小国の利子率rは世界利子率r*に等しい。また当面、自国と他国の物価水準は一定と仮定しておく。 財市場:Y=C(Y-T)+I(r*)+G+NX(e) 総所得Y、消費C、投資I、政府購入G、純輸出NX。消費は可処分所得Y-Tの正の関数。投資は利子率の負の関数、純輸出は為替レートeと正の関数。物価水準が一定なので名目為替レートと実質為替レートを区別する必要はない。eが上昇(減価)すれば、輸出の増大と輸入の減少が生じる。その逆は逆。 所得

    マンデル・フレミングモデルの解説
  • いまニッポンで「最高の経営者」は誰かin『週刊現代』でコメント

    いまニッポンで「最高の経営者」は誰かin『週刊現代』でコメント
  • 藪下史郎『スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない』

    スティグリッツ経済学の由来からその発展、今後の可能性を、経済学の初心者にもよくわかるように書かれた読みやすい経済学副読といえる。僕は早稲田大学の大学院(ジャーナリスト専攻)で、今年度はスティグリッツの『ミクロ経済学』を活用したが、そのときこのをつねに参照した。特にグローバリズムに対するスティグリッツの距離をおいた批判的姿勢、また新古典派経済学に対する批判なども、かなり参考になった。 スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない 作者: 藪下史郎出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2013/02/01メディア: 単行 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見るスティグリッツ ミクロ経済学 (スティグリッツ経済学シリーズ) 作者: ジョセフ・E.スティグリッツ,カール・E.ウォルシュ,Joseph E. Stiglitz,Carl E. Walsh,藪下史郎,

    藪下史郎『スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない』
  • 福島県の経済メモ2ー公共事業の制約がもたらすクラウディングアウトー

    福島県の経済メモ(http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20120922#p2)のその後 今日発表された福島県の最新の経済動向 http://www.pref.fukushima.jp/toukei/data/01/keizai/keizai25/2507.pdf 以前、書いたように、公共事業中心の経済に大きく転換してしまっている。「公共事業の制約」に直面する一方で、生産が停滞している。雇用も他県に比べてかなり弱い。いい面もあり消費、倒産件数、負債などで改善の動きもある。なぜ生産がこれほど停滞しているのだろうか? ひとつには、「公共事業の制約」モデルから説明できるかもしれない。公共事業支出(=総需要の一部)が急増化しても供給面での制約に直面してしまうことで、他の部門への需要が掃き出されてしまうクラウディングアウトの一種が生じている可能性が大きいのではない

    福島県の経済メモ2ー公共事業の制約がもたらすクラウディングアウトー
  • クールジャパン戦略についてのメモ

    今日、Twitterに書いたのを修正して以下にまとめる。勉強メモ。 ちょっと仕事なのでクール・ジャパン政策関連の資料についてつぶやき連続技。「面影日」http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/OmokageNihon.pdf とりあえず最近の「逝きし日の面影」シンドロームと松岡正剛氏の知の編集工学(よく知らないけど)の合わせ技パンフレット。実体的中味はゼロ。 クールジャパン戦略の24年度成果集。http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/HPkaigai130603.pdf 世界各国いってイベントしました。終わり。 クールジャパン戦略最初の文書http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_servi

    クールジャパン戦略についてのメモ
  • 金融政策を考えるときは、名目利子率と同時に実質利子率を考えることが重要(住宅ローン問題の新聞の報じ方から)

    これも6月12日にTwitterに書いたものを修正の上掲載。 産経新聞(産経新聞だけではなく実に多くの新聞やテレビなどに散見される見解であり、特定紙を批判しているのではない。むしろ産経は、田村秀男さんが書くときは素晴らしい記事が多い。念為)のヤフーニュースにあがった記事。 「日銀、供給延長見送り 長期金利抑制にジレンマ 株式など資金移動妨げ警戒」(産経新聞、6月12日)。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130612-00000100-san-bus_all(おそらくリンクはそのうち切れる)。 この産経の記事の問題点は、「11日の国債市場は長期金利の終値が前日比0・035%高の0・870%に上昇」という名目金利の小幅変動を過剰に問題視し誘導しているところだ。これでは国債金利は固定金利が望ましくなってしまう。悪しき誘導記事だ。また住宅ローン金利などの消

    金融政策を考えるときは、名目利子率と同時に実質利子率を考えることが重要(住宅ローン問題の新聞の報じ方から)
  • 石橋湛山はレジーム転換後に何を語ったのか?(メモ書き1)

    石橋湛山は1931年、1932年の二段階のレジーム転換後にどんなことを言ったのか。いまの日経済を考える上でも重要だと思います。1932年11月以降から2・26事件が起きる前までに焦点をあてて、断続的に彼の発言を引用してみます。最初は1932年12月から1月にかけてのもの。マルクス主義的な立場だった有澤廣巳との論争を背景にしたもの。 以下は今日、twitterに書いたものを並べただけのもの。 まず(1)不況がずっと続く期間→(2)不況から好景気に転換する時期→(3)好況期 の三期間にわけて考える必要。(1)において日の最近の経験だと、実質賃金の高止まり(デフレが主因)によって失業率が増加。ちなみに実質賃金の高止まりはデフレ不況の原因のひとつにしかすぎないことに留意。(2)のいわば過渡期について、石橋湛山が事実上のマルクス主義者といえた有澤廣巳と戦前に論争をしている。『石橋湛山全集』第九巻

    石橋湛山はレジーム転換後に何を語ったのか?(メモ書き1)
  • 上念司『「アベノミクス亡国論」のウソ』

    これは面白い! メガワロタ。たぶん上念さんの最高傑作でしょう。身内ぼめの必要一切なし! 読めばわかるけど 1)実名をあげた「国家破産」批判 2)心配性すぎて150年に一回の日破綻が明日にでも起こると考えてる人への資産防衛術 という話題が、そもそも1)も2)にも共通する(まともな経済学や常識からの判断からすれば)ネタとしか思えない部分を、真剣な顔して論じていきます。その「真剣な風情」が面白い! ユーモアありすぎw 何度も声出して笑った。その辛辣な批評と「おちょくり」感覚の裏には、きちんとした指摘がまんさいだ。特に心配性な人のための資産防衛術を読み進めていくと、いまの日がいかに何重ものルールで破たん的な状況から守られていることがわかる。例えば書では、ハイパーインフレが起こらない日での条件として、議会民主主義、インフレターゲット、物価連動債(これの新規追加発行は急を要する)が提起されて

    上念司『「アベノミクス亡国論」のウソ』
  • 村上尚己『日本人はなぜ貧乏になったか?』

    村上さんの最初の著作は、「なぜ日はこうまで停滞し、生き方がぎすぎすし、そして多くの人が自らの生活をしんどいものとおもうようになったのか」という疑問に取り組むリフレ派(デフレを脱却し、低インフレをもたらす政策を支持する人たち)の考えをきわめて一般の人たちにわかりやすく解説していることで非常に反響をよびました。 感想をブログに書いて応援せねば、と思う必要もなくあっという間に売れてしまいました 笑。書でもっとも僕が読んでいてなるほどと思ったのは、「おわりに」の部分にある村上さんの問題意識がどうして生まれたのか、です。多くのリフレ派がそうだったように、おそらくまわりに同じ問題意識やその処方箋を共有している人はほとんどいなかったでしょう。その孤立の中で鍛え上げられていく思索の道のりがよくわかります。この部分は多くのリフレ派の共通するマインドではないでしょうか? ぜひ何度も読んでほしいとことです。

    村上尚己『日本人はなぜ貧乏になったか?』
  • “長期金利急騰”を「国債暴落」や「日銀の思惑外れ」のごとく煽る者たちこそ日本停滞の一因だ

    国債の長期金利が“急騰”したそうである。たかだか0・8%だが。マスメディアは煽る方がもうかるので、自らの無知を恥じることは永久にしないだろう。 政府(菅官房長官)の「株高や為替安の帰結の国債金利上昇なので健全」という趣旨の発言は妥当だ。僕のみたところ首相、官房長官、そして山幸三議員がリフレ政策(日銀の大胆な金融緩和)を十分に理解している。あとは知らない。 野党でもリフレ政策を完全に理解している金子洋一議員はすぐに以下のようにつぶやいている。立派だ。 https://twitter.com/Y_Kaneko/status/334278397024952320 菅官房長官の説明は文句なく正しい。自民党の批判をするならもっと違った観点からしなければならない。➡株価上昇で債券から株式に資金がシフト=長期金利上昇で官房長官 それをうけて僕もtwitterにつぶやいた(一部修正して以下に掲載する)

    “長期金利急騰”を「国債暴落」や「日銀の思惑外れ」のごとく煽る者たちこそ日本停滞の一因だ
  • 日本と米国の違いってなんだろうか?(簡単な図表から)

    バーナンキFRB議長の発言(学者のときの日銀行批判といまのFRB議長になってからの金融政策のスタンスは首尾一貫)に対して David Beckworthが「総需要不足が原因じゃなかったの」という発言がある。でも、やはり僕はバーナンキがいまの米国はデフレ(の危機はあったけどどうにかそれは克服しつつある)ではない、という発言に重みを感じてしまう。FRBのように超金融緩和に動いた国と、日のように20年間実質的に動いていない国ではやはりまったく違う。リーマンショックの前一年ぐらいいれても米国の経済停滞は5年と、日の20年超はやはり違う。この長さも重要な意味をもってくる。 David Beckworthのように総需要不足ばかり(この“ばかり”に強調マークを!)みていると、やはり日のような国と米国の違いを見落としてしまうし、同じ理論であっても米国と日の環境が違えば、いまのバーナンキの発言もと

    日本と米国の違いってなんだろうか?(簡単な図表から)
  • 1997年、リフレ派への旅

    『杉原四郎著作集 第3巻』(藤原書店) 月報 杉原四郎先生と現代経済論戦 日経済は12年もの長きにわたる大停滞を経験した。この過程でさまざまな経済学者・エコノミスト・政策当事者・評論家たちが苛烈な経済論戦を繰り広げてきた。特に小泉純一郎政権が誕生してからの「構造改革」路線、日銀行の金融政策とそれをめぐる政策論争は、日の経済思想史上もっとも激しい論争となった。以下ではこの00年代の経済論戦を「平成大停滞論争」と名づけよう。論争点は大きくわけると、平成大停滞は、日の構造的な問題によるものなのか、あるいは(金融政策などの)政策の失敗がもたらした循環的問題なのか、という意見対立になるだろう。この論争点は、著作集でもクローズアップされている福田徳三と河上肇の対立や昭和恐慌期での経済論争で戦われていたものと同じ問題が意匠を代えて登場したものといっていい。 この平成大停滞論戦に微力ながら私もな

    1997年、リフレ派への旅