核融合発電の実現に向けて南フランスで進められている世界最大の核融合の国際プロジェクト「ITER」の計画が遅延している。 核融合は、1グラムの燃料から石油8トン分ものエネルギーを得られる可能性を秘めた次世代の技術として、ここ数年民間企業への投資も拡大し、世界的に注目を集めてきた。日本でも、この3月にフュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)が発足している。 ITER計画は、日本をはじめアメリカ、中国、EU、ロシア、インド、韓国の7カ国・地域が参加する国際プロジェクトとして、1980年代から検討が進められてきた。7月初旬に開催されたITERの記者会見の中で、2025年までに予定していたプラズマ実験のスタート(「ファーストプラズマ」と言う)を、2033年以降に延期する方針であることが判明した。 この計画延期は、世界や日本の核融合産業にどのような影響を与えるのか。 ITERはなぜこれほど