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ブックマーク / hicksian.hatenadiary.org (40)

  • 『リフレが正しい。FRB議長ベン・バーナンキの言葉』 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

    日(5月24日)、中経出版より高橋洋一氏の監訳・解説で『リフレが正しい。FRB議長ベン・バーナンキの言葉』が出版されました。書は、現FRB議長であるベン・バーナンキによる講演(理事時代の講演も含む)と議会証言、そしてFOMCによるプレスリリース(記者発表)を計7点集めて翻訳したものとなっています。それぞれの翻訳に対して高橋氏による簡単な解説もなされています。 収録内容に関してはoptical_frogさんのエントリーをご覧いただくとして、翻訳担当者の半数ほどは(これまたoptical_frogさんがつぶやかれているように)「道草」参加メンバーとなっております。 そうです。私も一部ですが翻訳に協力させていただきました。そこで私が担当した翻訳箇所に対するサポートの提供を意図しましてそれ用にブログを設けました。このサポートブログでは、誤植や誤訳の訂正(無いことを祈るばかりですが)や収録内容に

    『リフレが正しい。FRB議長ベン・バーナンキの言葉』 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜
  • サムナー 「臆病さという名の罠」 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

    ●Lars Christensen, “15 years too late: Reviving Japan (the ECB should watch and learn)”(The Market Monetarist, April 4, 2013) これまで過去15年にわたって日銀行はデフレ的な政策(deflationary policies)を推し進めてきたが、その日銀行が今や進路をはっきりと変えつつあるようだ。このことは日開催された金融政策決定会合の内容を見れば誰の目にも明らかだろう。今回の決定に関しては「極めてよいニュースだ」という言葉以外に何と書いたらよいものかこれといってうまく思い付かない。今回の日銀行の決定は日にとっても世界経済にとっても好ましく、また、教科書通りの金融緩和策であると言える。あえてマイナス面を挙げると、ターゲットが名目GDPの水準ではなくインフレ率に

    サムナー 「臆病さという名の罠」 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜
  • 「通貨戦争をめぐる混乱」+α - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

    ●Paul Krugman, “Currency War Confusions”(The Conscience of Liberal, February 15, 2013) 所々こちらで勝手に言い回しを変えているところがあるのでご注意を。 最近話題になっている「通貨戦争」(“currency war”)についてどう思うかと尋ねられることが多いのでここで私の立場を明らかにしておこう。私の見解はこうだ。「通貨戦争」をめぐって世間で語られていることは思い違いに満ちており、政策担当者がその議論を真剣に受け止めてしまうと非常にまずいことになるだろう。 まずはじめに、多くの人々が過去の(歴史上の)通貨戦争について抱いている認識は正しくない、という点をおさえておく必要があろう。1930年代に世界経済を襲ったとされる悪循環を説明するために「保護主義」(protectionism)と「通貨切り下げ競争」(c

    「通貨戦争をめぐる混乱」+α - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜
  • 「流動性の罠」下におけるインフレーション・ターゲッティング:日本経済に埋め込まれた排中律 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

    ●Paul Krugman(1999), “Inflation targeting in a liquidity trap: the law of the excluded middle” パソコンのハードディスクを整理していたら途中まで訳してほったらかしにしていたのを発見。折角なんで最後まで訳してみた。1999年に書かれた論説です。 噂によると、日銀行が目標の上限値としてプラスのインフレ率を設定するインフレーション・ターゲッティング(の一種)の採用を検討しているらしいとのこと。この噂が当だとすればいいニュースだ。というのも、ついに日人自身が自分たちの置かれている状況がいかなるものかを理解し始めつつあることを意味しているからだ。でも当にそう言える*1んだろうか? どうだろう。というのも、噂として聞こえてくるインフレ率の目標値があまりにも低過ぎるからだ。もし(インフレ率の目標値が)噂

    「流動性の罠」下におけるインフレーション・ターゲッティング:日本経済に埋め込まれた排中律 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜
  • 「ストーリーを疑う;ストーリーとうまく付き合う方法(4)」 - Irregular Economist ~hicksianの経済学学習帳~

    コーエンのTED講演の訳続き(その(1)/ その(2)/ その(3))。ストーリーが抱える第3の問題点(「市場で(広告などのかたちをとって)広く流布したり政治家が声高に語るようなストーリーは一定のバイアスを抱えている可能性が高い」)について。次の(5)で最後。 最後に、ストーリーが抱える第3の問題に話題を転じましょう。私たちはストーリーに心惹かれやすい傾向を持っているわけですが、私たちのそのようなストーリーに対する愛を利用しようと画策している人々が存在します。ストーリーを語ることを通じて私たちを操ろうと画策している人々が存在するのです。私たちは誰もが自分だけは広告によって影響されることはないと考えたがるものですが、もちろんそんなことはありません。私たちは誰もが皆広告から影響を受けるのです。もしあなたもまた他の人々と同じようにストーリーに対する愛を持ち合わせていれば、あなたのもとには商品を、

    「ストーリーを疑う;ストーリーとうまく付き合う方法(4)」 - Irregular Economist ~hicksianの経済学学習帳~
  • 「ストーリーを疑う;ストーリーとうまく付き合う方法(3)」 - Irregular Economist ~hicksianの経済学学習帳~

    コーエンのTED講演の訳続き(その(1) / その(2))。ストーリーが抱える第2の問題点(「ストーリーは時に相反する複数の機能を果たす」)について。 次に、ストーリーが抱える第2の問題に移りましょう。私たちは一度に−あるいは一日のうちに、あるいは一生のうちでさえも−それほど多くの数のストーリーを心のうちに抱え込むことはできません。そのために*1、同じストーリーが非常に多くの目的のために利用される*2、ということになってしまうのです。例えば、私たちは朝ベッドから起き上がるよう自らを駆り立てるために、「私の仕事は非常に重要なものであって、私がこれから取り掛かろうとしていることは非常に価値があることだ」−たぶん重要なんでしょうけれども−とのストーリーを自分自身に向けて語りかけているわけですが*3、それほど重要ではないことに取り掛かる際にもこの同じストーリーが自らに向けて語られる*4ということが

    「ストーリーを疑う;ストーリーとうまく付き合う方法(3)」 - Irregular Economist ~hicksianの経済学学習帳~
  • 「ストーリーを疑う;ストーリーとうまく付き合う方法(2)」 - Irregular Economist ~hicksianの経済学学習帳~

    コーエンのTED講演の訳続き(その(1)はこちら)。ストーリーが抱える第1の問題点(「ストーリーはあまりにもシンプルすぎる」)について。 さて、それではストーリーにどっぷりと寄りかかって思考することにはどのような問題があるのでしょうか? 多くの人々は自分の人生をごちゃごちゃしてとっ散らかったものとしては捉えずに、「人生とはこれこれ(旅、バトルetc)である」と捉える傾向にあるわけですが、あまりにも過度にストーリーに頼って思考することにはいくつかの問題があると私は考えております−日は大きく3つの問題を指摘させていただきます−。まず第1の問題というのは、ストーリーはシンプルになり過ぎる傾向があるということです。ストーリーのポイントは細かい部分を削ぎ落していくことにあります。その結果として、ストーリーは18分間の尺*1に収めることも、わずか一つか二つの文章で伝えることだって可能になる−実際、大

    「ストーリーを疑う;ストーリーとうまく付き合う方法(2)」 - Irregular Economist ~hicksianの経済学学習帳~
  • 「セントラルバンカーに告ぐ。いつまでもぐずぐずするな。行動せよ。」 - Irregular Economist ~hicksianの経済学学習帳~

    コーエンの講演の訳の途中ですが、一回休憩を挟む感じでポーゼンの論説を訳してみたり。 ●Adam Posen, “Central Bankers: Stop Dithering. Do Something”(New York Times, November 20, 2011) アメリカ経済も世界経済もともによく知られた障害に直面しつつある。その障害というのは、政策における敗北主義(policy defeatism)である。近代の経済の歴史を振り返ってみると、1920年代の西ヨーロッパであれ1930年代のアメリカであれ1990年代の日であれ、主要な金融危機を経験したいずれの国においても、持続的な景気回復を実現する上で必要な景気刺激策が早まって*1放棄―反転とまではないかなくとも―されてきた。悲しいかな、世界経済はこの同じ過ちを繰り返しつつあるように見える。 今現在なすべき正しい行動は、Fed

    「セントラルバンカーに告ぐ。いつまでもぐずぐずするな。行動せよ。」 - Irregular Economist ~hicksianの経済学学習帳~
  • 「「しかしながら、需要はどこからやってくるのでしょう?」 ~称賛すべきオールドケインジアンの洞察~ 」 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

    ●Nick Rowe, ""But where will the demand come from?" In praise of older Keynesians"(Worthwhile Canadian Initiative, February 04, 2011) 不景気のたびに尋ねられる質問がある。景気が回復するためには需要の増加が必要であるが、「しかしながら、需要はどこからやってくるのでしょう?」、と。 私がまだ若くて愚かであった頃なら、「「住宅」("housing")部門から」と答えることだろう。この回答は過去に関していうとかなり妥当な推測であると言えるだろう。しかし、少しばかり年をとり幾分か偏屈にもなった今の私はこの質問に直接回答することは拒み、次のような反応を返すことだろう。 「私のようなアームチェア・エコノミスト(象牙の塔に引き籠ってのうのうとしている経済学者)がその答えを知

    「「しかしながら、需要はどこからやってくるのでしょう?」 ~称賛すべきオールドケインジアンの洞察~ 」 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜
  • 2010-07-20

    ●Paul Krugman, “More Stimulus Despair”(Paul Krugman Blog, July 18, 2010) 今日はちょっと率直に語らせてもらおうと思う。この1年半ぐらいの間、財政刺激策をめぐって議論してきたけど、その過程において僕は経済学の現状にすっかり絶望させられることになった。例えばあなたが財政刺激策はダメダメなアイデア(bad idea)だと信じているとして、それはそれでまあよろしい。でも、議論におけるマナーとして、意見を異にする相手がこちらが何を語っているかについてほんのちょっとだけでも耳を傾けてくれるだろうってことくらいは最低限期待してもいいものでしょう? 特に、財政刺激策を擁護する主張は、いつも明らかに条件付きの主張として語られてきたもんだ。財政刺激策は以下の2つの条件が満たされる時に限って実施すべし、ってね。1つ目の条件っていうのは、経済

    2010-07-20
  • 学習性無力感に囚われたマクロ経済学 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

    ●Paul Krugman, “Learned Helplessness In Macro”(Paul Krugman Blog, June 29, 2010) マーク・ソーマ(Mark Thoma)とブラッド・デロング(Brad DeLong)がそれぞれ自分のブログでジェームス・モーリー(James Morley)の現代マクロ経済学批判(pdf)を取り上げてるね 。実のところ、僕自身もちょっと前に大体似たようなことを書いたことがあるんだ(訳者注;okemosさんによる訳はこちら)。その時書いたように、「現代」マクロ経済学は、以下のような基的なストーリー展開に沿って変容を遂げてきたと言えるだろう。 1.ルーカスが先導した研究プロジェクトは、現実の経済はケインジアン的な振る舞いを見せる―つまりは、財政政策や金融政策は、明確な形で、生産や雇用に影響を及ぼす(=実質的な効果を持つ)ようである―

    学習性無力感に囚われたマクロ経済学 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜
  • ケインズも仰せのように「長期的にみると、我々はみな死んでしまう」んだよ - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

    ●Paul Krugman, "In The Long Run, We Are Still All Dead"(Paul Krugman Blog, June 25, 2010) Mohamed El-Erianの記事を読んだんだけど、彼が一体何を言わんとしているのか理解しかねてちょっと当惑してしまっている。彼が推奨しようとしている政策は正確なところ一体何なんだろうか? ともかく、私を当惑させている話はこういうことだ。彼は次のように書いている。 今や世界は深刻な構造問題に直面しつつある。しかしながら、各国のリーダーたちは短期的、循環的なものの見方に固執したままである。 全く同意しないね。どちらかというと、各国のリーダーたちは彼が指摘しているのとは正反対の問題に頭を悩ませているようだ。ドイツのお偉方に対して彼の国の高失業や眼前に立ちはだかるデフレの脅威といった(短期的、循環的な)話題を持ちか

    ケインズも仰せのように「長期的にみると、我々はみな死んでしまう」んだよ - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜
    optical_frog
    optical_frog 2010/06/29
    長期的にはみんな死んでしまうんだよトーマ!
  • バーナンキ講演「中央銀行の独立性,透明性,説明責任」:「透明性と説明責任」部分 - Irregular Economist ~hicksianの経済学学習帳~

    バーナンキの講演を訳せという声が聞こえてきたので、「透明性と説明責任」の節だけ訳してみました(導入部分はoptical_frogさんが、結論部分はWASSHOIさんが、それぞれ訳されています)。あとは任せた。 (追記)night_in_tunisiaさんが訳(残りあと一節のようです)を一か所に集約してくださっています(night_in_tunisiaさん自身も訳されてます)。FT誌に掲載された講演後のバーナンキのインタビューもnight_in_tunisiaさんが訳してくださっていますので、そちらも是非ともご覧あれ。 透明性と説明責任(Transparency and Accountability) 中央銀行の独立性は重要ではあるが、先にも触れたように、中央銀行の独立性は無条件で認められるものではない。民主主義の原則は、政府の代理人(agent)という立場に置かれている中央銀行に対して以下

    バーナンキ講演「中央銀行の独立性,透明性,説明責任」:「透明性と説明責任」部分 - Irregular Economist ~hicksianの経済学学習帳~
  • Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜 岡田靖「小幅で頑固な日本のデフレーションは問題か?」

    ●Yasushi Okada(2006), “Is the Persistence of Japan’s Low Rate of Deflation a Problem?(pdf)”(prepared for ESRI国際コンファレンス:「“失われた10年”における日経済の変貌と回復」, 東京, September 14, 2006;同じ訳をこちらにもアップ) <要約> 論文は大きく2つのパートから構成される。まず第1のパートにおいて、なぜ日経済において持続するデフレーションが小幅(マイルド)であるのかを論ずる。デフレーションが、①小幅(マイルド)であり、かつ、②長らく持続している(頑固である)、というこの2つの事実の組み合わせは、日経済が過去10年間において経験したデフレーションの最も顕著な特徴である。論文において我々は、このような2つの事実によって特徴づけられる日のデフレー

    Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜 岡田靖「小幅で頑固な日本のデフレーションは問題か?」
  • クルーグマン「スタグフレーション vs ハイパーインフレーション」 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

    ●Paul Krugman, “Stagflation Versus Hyperinflation”(Paul Krugman Blog, March 18, 2010) どこからともなくこのコラムを訳すよう促す天の声が聞こえてきたような気がしたので訳してみた。ただし、このコラムに関しては既にoptical_frogさんによる素晴らしい訳が存在している。 ●optical_frog, “クルーグマン「スタグフレーション vs. ハイパーインフレ」”(left over junk, 2010年3月19日) (追記)JD-1976さんのブログ記事(『クルーグマンマクロ経済学』第16章の要約)も参照のこと。 ●JD-1976, “第16章 インフレ、ディスインフレ、デフレ(1)”(事務屋稼業, 2009年11月22日) そういうわけで、以下では私なりの解釈をかなり入れて自分なりに理解しやすいよう

    クルーグマン「スタグフレーション vs ハイパーインフレーション」 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜
  • 経済学の基本原理;あいうえお作文風にまとめてみると - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

    ●“ECONOMICS!!”(Greg Mankiw's Blog, January 29, 2010) Ten Key Principles in Economics(経済学における十大原理) Everything has a cost. There is no free lunch. There is always a trade-off. (すべての選択にはなにがしかのコストが伴う。フリーランチはない。我々は常にトレードオフに直面している。) Cost is what you give up to get something. In particular, opportunity cost is cost of the tradeoff. (コストとは、何かを得るために犠牲にしたもののことである。トレードオフに直面しているということは、言い換えれば、いかなる選択にも機会費用というコス

    経済学の基本原理;あいうえお作文風にまとめてみると - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜
  • スキデルスキー「なぜ市場心理はあてにならないのか」 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

    ●Robert Skidelsky, “Why market sentiment has no credibility”(Financial Times, December 22, 2009) ここでは「market sentiment」を「市場心理」と訳したけれども、hongokuchoさんのご指摘によれば、業界的には「市場の地合い」と訳されるようである。 第2次世界大戦後最も深刻な経済停滞に直面している現在のイギリス経済が、同時に平時における最大規模の財政赤字を抱えることになりそうだとしても驚くことはないだろう。年度の終わりまでに、イギリスのGDPは経済危機に突入して以来約5%の減少を記録することになりそうな見込みである。同期間における財政赤字はGDP比でみると5%〜8%程上昇する見込みである。財政赤字拡大の背後にある計算は簡単なものなので子供にも容易に理解できるだろう。「縮小するG

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  • コーエン著「中東和平に向けたロードマップ? ~公共選択論の観点から~」 - Irregular Economist ~hicksianの経済学学習帳~

    ●Tyler Cowen(2004), “A Road Map to Middle Eastern Peace? - A Public Choice Perspective”(Public Choice, Vol. 118, No. 1/2, pp. 1-10)/〔2022年6月23日〕訳を全面的に修正。 イスラエルとパレスチナの間で和平がなかなか達成されずにいるのは、なぜなのだろうか? ブッシュ大統領が提案する「中東和平のロードマップ」は和平の達成につながるだろうか? これらの疑問に答えるにあたり、論文では、中東問題の細々とした論点からはちょっと距離をとった上で、公共選択論の観点から、戦争や対立(conflict)に関する基的な問いに思いを巡らせてみようと思う。論文では、「そもそも戦争が起きるのはなぜなのだろうか?」、「和平交渉に臨む各国がしばしば『取引の利益』(gains fro

    コーエン著「中東和平に向けたロードマップ? ~公共選択論の観点から~」 - Irregular Economist ~hicksianの経済学学習帳~
  • コーエン著「対立の可能性を秘めた世界秩序の経済効果」 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

    ●Tyler Cowen(1990), “Economic Effects of a Conflict-Prone World Order”(Public Choice, Vol. 64, No. 2, pp. 121-134) 1.Introduction(はじめに) 国際紛争や戦争の経済効果を巡っては今日までに激しい議論がたたかわされてきた。軍国主義(militarism)に批判的な論者は、しばしば、戦争と軍備増強に伴うコストを指摘する。例えば、Reston(1988)は、アメリカとソ連とによる軍事防衛のための支出は両国を合計して1日あたり15億ドルを超えると指摘している。さらには、戦争の脅威(あるいは可能性)は、多くの人々が懸念を表明しているように、社会全体を軍国主義に傾かせ、社会的な統制意識(regimentation)やナショナリズムの感情をかきたてる可能性があるとともに、現実の

    コーエン著「対立の可能性を秘めた世界秩序の経済効果」 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜
  • 手を縛られた日本銀行? - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

    レギュラー先生のつぶやき第何弾かです。確か民主党が政権をとった際にも同じようなことをつぶやかれていたと記憶しています。この度の政府の「デフレ宣言」を受けてまたつぶやかれていました。以下は聞き取れた範囲でそのつぶやきをまとめたものです。 ここで一つ思考実験をしてみるワン。 中央銀行の独立性という問題はひとまず脇に置いておいて、日銀が政府の言いなりだと仮定するワン。 現政権は民主党ワンが、民主党と言えば昨年の日銀総裁・副総裁人事のゴタゴタの原因の一端を担っているワンが、ゴタゴタした理由は財金分離というよくわからない原理を振り回して元財務事務次官の武藤氏の日銀総裁就任を頑なに認めなかったからワン。加えて民主党は伊藤隆敏教授の副総裁就任に関しても「インフレ目標を提唱している」「構造改革路線を支持していた」等の理由を挙げて反対にまわったワン。 この事実をもって民主党は財金分離主義であり反インタゲであ

    手を縛られた日本銀行? - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜