レイチェル・シュタイア『万引きの文化史』(太田出版、2012)を読んだ。 万引きの文化史 (ヒストリカル・スタディーズ03)posted with amazlet at 13.07.08レイチェル・シュタイア 太田出版 売り上げランキング: 77,282 Amazon.co.jpで詳細を見る レイチェル・シュタイア(←ごめん、この人シュテアーだと思って論文にもそう書いちゃったんだけどシュタイアだそうです)は舞台芸術史の研究者でバーレスク研究で有名なのだがなんでまた万引き(shoplifting)の本を…と思ったら、どうもこの本を書くことになった大きなきっかけのひとつはウィノナ・ライダーの万引き報道らしい。書いているシュタイア自身がけっこう万引きに魅力を感じているようなのだが、とはいえ信頼できる研究者ではあるので文化史的な調査のほうは非常に行き届いている。 この本は欧米におけるshoplif
マックス・ウェーバーの日本 受容史の研究1905−1995 著者:ヴォルフガング・シュヴェントカー 出版社:みすず書房 ジャンル:社会・時事・政治・行政 マックス・ウェーバーの日本 [著]ヴォルフガング・シュヴェントカー 本書は、日本のウェーバー研究の内容を、大正時代から現在にいたるまで詳細に検討するものである。実は、ウェーバーは日本で、ドイツで以上によく読まれてきた。にもかかわらず、日本人のウェーバー研究はドイツでほとんど知られていなかった。したがって、本書がドイツの読者にとって役立つことは当然であるが、日本人にとっても、いろいろと考えさせる事柄を含んでいる。 日本は、非西洋圏で唯一、近代資本主義国家となった。その理由を問うために、日本人は特に、ウェーバーの理論を必要としたといえる。しかし、ウェーバーが広く読まれるようになったのは、1930年代、天皇制ファシズムが席巻し、マルクス主義運動
閉塞感(へいそくかん)漂う時代の中で勇ましいことばが人々をひきつける中、いまや記憶のかなたの古典となったマルクス、エンゲルスの「共産党宣言」を現代語訳した人がいる。大阪のグラフィックデザイン会社社長、北口裕康さん(48)。学者でも党員でも翻訳家でもない立場で「高校生にもわかるように」と言葉を探していくと、意外にも、今の時代がわかりやすく見えてきたという。 翻訳を始めたのは、リーマン・ショックの余波が続いていた2009年秋。「資本主義の終焉(しゅうえん)」という言葉が飛び交っていた。だったら、新しい世界を作る手がかりの一つとして「共産党宣言」を訳してみたらどうだろう。初めて読む古典に手を伸ばした。 意識したのは、当たり前に使われてきた小難しい単語に頼らず、いまを生きる自分が納得できるわかりやすい言葉を探すこと。 「ブルジョア」は「金持ち組」とした。「プロレタリア」は「やとわれ組」。社員だけで
なぜ、マルクスは『資本論』を書かねばならなかったのか。 新訳「ユダヤ人問題に寄せて」 国家の宗教からの解放は、現実の人間を宗教から解放するということではない 自由という人権は政治的生活と闘争に入るや権利であることをやめる 的場昭弘による4ページ程の序文がえらくわかりやすいので、ほぼ丸ごと引用。 新訳 初期マルクス――「ユダヤ人問題に寄せて」「ヘーゲル法哲学批判‐序説」 作者: カール・マルクス,的場昭弘 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 2013/02/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る なぜ、マルクスは『資本論』を書かねばならなかったのか。 言い換えれば、なぜマルクスは経済学を批判しなければならなくなったのか。その謎はすべて、1844年『独仏年誌』に掲載された本書の二つの論文「ユダヤ人問題に寄せて」と「ヘーゲル法哲学批判――序説」にあるといってもよいだろ
ギリシャやイタリアの経済危機を経済的な視点から論じている本はいくつも出ている。本書もその類かと思いきや、まったく違った。なにしろ、冒頭に登場するのはギリシャの映画監督、テオ・アンゲロプロスである。 「いまは未来が見えない。そして誰もが大きな待合室でチェスをしながら、扉が開くのを待っている。(中略)ここ地中海圏が、扉を最初に押し開こうとするだろう」。この高名な映画監督が著者に直接語ったこの言葉の詳細はわからないままだ。著者が「詳しく聞きたい」と質問を託した矢先、彼は交通事故で死んでしまったのだ。 そこから、「扉を開く」とは何か、を問う著者の旅が始まる。ギリシャ、そしてイタリアで人々と対話し、歴史家や哲学者、社会学者らの言葉に耳を傾け、扉の向こう、すなわち資本主義の先にあるものを探るのだ。 その問いは、意外にも小津安二郎に着地する。本書には経済的分析やジャーナリズムを超えた深い「人文的思考」が
(岩波現代文庫・1491円) ◇現代資本主義の特質を知る手引書 二〇世紀の経済の歴史をふりかえると、先進国での巨大企業体の出現が浮びあがってくる。それは電機、化学、石油、自動車など、新産業だけでなく、製鉄や食品などにも及びそれらの企業が各国の中枢に位置し、経済をリードしている。だが、これを分析するはずの経済理論の多くは、小規模の、多数企業からなる競争的市場を前提にしている。前提が、現実と異なるのである。アメリカの新古典派経済学がその典型である。 だが、例外はガルブレイスであり、その主要著作は、巨大企業の行動とそれがつくりだす現代資本主義の特質を明らかにしようとするものである。しかも、その著書の多くが大部で、ベストセラーとなっている。 大部というのは、読み通すのが難しいことでもある。それゆえ、本書のような手引書があると便利である。 この本の構成は次のようなものである。ガルブレイスの三部作−−
1.本質主義批判と異種混淆性論 ポストモダン人類学と呼ばれる人類学の潮流は、文化の本質主義批判から始まったと言えるでしょう。本質主義とは、文化によって規定された人間分節(人種や日本人やマサイ族といった民族、あるいは女性やゲイなど、ジェンダーやセクシュアリティに結びつく分節)をそこに帰属する人々の変わらぬ本質と捉えるとか、先住民族のエコロジカルな文化などというときの文化のカテゴリーを土地や民族と本質的に結びついたものと見なす思考を言います。そのような本質主義への批判は、文化の「異種混淆性(ハイブリディティ)」と「脱領土化( deterritorialization )」(ガルシア=カンクリーニの定義によれば、「文化と、地理的・社会的領土[テリトリー]の『自然』な絆の喪失」)への肯定的評価という論点を伴っていました。つまり、「あらゆる文化は構築されたものであり、異種混淆的であり、土地を離れて移
(名古屋大学出版会・5880円) ◇経済人はなぜ満州事変を阻止できなかったのか 日本の真珠湾攻撃を知ったその日、南原繁は「人間の常識を超え学識を超えておこれり日本世界と戦ふ」と詠った。無謀な戦いであり、先に待っているのは敗北だけと思われるのに、戦いが始められてしまった衝撃を詠んだものだ。政治哲学者・南原が、歌のなかで、学識とともに挙げた言葉が「人間の常識」だった点に、目を奪われる。 いっぽう、産業革命期の日本資本主義の全体像と特質を描くことにかけて、右に出る者がいないと言われる本書の著者・石井寛治。1997年の著作『日本の産業革命』のなかで石井は、近現代史を帝国主義史として批判的に描くことを「自虐的」だとして排する史観の流行を批判し、こう述べていた。いわく、「世間の常識」を完全に無視するわけにはいかないが、研究者たるものは、常識=体制への批判精神を欠いてはならない、と。 人間の常識に敬意を
<KEY PERSON INTERVIEW> 09年末にギリシャに端を発した「ユーロ危機」は資本主義という名の宗教が壊れ始めた世界での日常の出来事にすぎない--。そう断言するイタリアの哲学者、ジョルジョ・アガンベンさんに近未来、そして「フクシマ」の原発事故が与えた衝撃について聞いた。【ローマ藤原章生】 ◇壊れゆく「資本主義宗教」--イタリアの哲学者、ジョルジョ・アガンベンさん(69) --東日本大震災後、日本だけでなくイタリアでも、経済成長にこだわらない暮らしを求める声が高まってきました。ギリシャの映画監督、故テオ・アンゲロプロス氏は昨年夏、「人々は(未来への)扉が開くのを待っている。イタリアなど地中海圏が扉を開く最初の地になる」と変動を予言しました。社会の価値観は変わりますか。 ◆ アンゲロプロスの言葉を読み、経済という独裁者が社会生活の細部にまで入り込んでいるという指摘に感銘を受けた。
はじめに行き過ぎた資本主義に批判がなされることも増えてきた。 マルクスの思想を全否定するのではなく、取り入れられるとこもあるんじゃないか的な議論も行われるようになっているように感じる。 以下では、マルクスの社会主義の特徴をピックアップする。 科学的社会主義「現実の経済社会に法則性を見出して、この社会が生み出す結果を論証する形を取った」 「そして、自分たちの社会主義を科学的社会主義と呼んだのである」 市民を疎外する社会「近代経済社会は、市民でありながら市民ではない労働する人々を疎外する社会である」 「そういった人々を『プロレタリアート』と呼んだ」 「発展した資本主義社会では、労働者は労働の現場で『疎外』され、生きがいを失い、充実した人生を歩めないという」 マルクスの言う資本「『自己増殖する価値』のことであり、熾烈な競争の下では、この資本があたかも自分の意思を持つかのように、増殖を目的として運
2024 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 2023 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2022 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2021 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5
海外FX業者を利用する上で、ボーナスは絶対に欠かせません。口座を新規開設するだけでもらえる「口座開設ボーナス」、入金時にもらえる「入金ボーナス」、その他にもキャッシュバックなど、様々なボーナスがもらえます。 受け取ったボーナスはそのまま取引に使え、利益が出た時は出金することも可能です。お得はあっても損はないボーナスなので、海外FX業者を選ぶ際には必ず比較しておきたいところです。 そこでこの記事では、海外FXボーナス(口座開設ボーナス・入金ボーナスキャンペーン)全195社を徹底的に研究した上で、おすすめ完全比較ランキングにまとめました。日本人に人気のFX業者だけでなく、マイナーの海外FX業者や注意点なども詳しく解説していきます。 「海外FXボーナスが豪華な業者をすぐに知りたい」という方向けに、海外FXボーナス選びに役立つカオスマップを作成したのでこちらも併せて参考にしてください。 「どのFX
2011年11月23日付の朝日新聞に、日本共産党の委員長である志位和夫が東大教授の宇野重規にインタビューされている記事が載っていた。資本主義の限界ということで、マルクスを志位に語らせている。 宇野は、 私は19世紀の政治思想史が専門なので、コミュニズムやソーシャルという言葉がどう変化してきたかに関心があります。 とのべている。宇野の問題意識はこうである。 共産主義を現代的に再定義する必要はないでしょうか。最近、ソーシャルビジネスという言葉をよく聞きます。かつてソーシャルといえば社会主義の薫りがしましたが、いまは非営利の活動のソーシャルといわれ、魅力的な形で再定義されています。コミュニズム、共産主義とは、何かを共有し、真の平等を図るのが本来の意義だと思うのですが、現代では何を一番共有したいのか、何が真の平等と考えるのか。それこそ魅力的な再定義が必要では。 この「共産主義の再定義」という問題意
■ナチスの「25カ条綱領」は日本人必読では http://mojix.org/2010/10/11/national-socialist-program ■右翼(国家主義)と左翼(社会主義)は反対概念ではなく、独立概念である http://mojix.org/2010/10/14/left-and-right まああらゆるレベルで間違っていると言えてしまうのですが、キリが無いので少しだけ。 ■誰がナチスを支持したのか? ワイマール共和国において、ナチスは政権を取るまで一度も過半数の議席を獲得したことが無い、というのはよく知られているとおりです。1933年の選挙でナチスは288議席を獲得しましたが、それでも全体の4割程度を獲得したにすぎませんでした。退潮傾向にあったとはいえ社会民主党は120議席と3ケタを維持し、共産党も前回から票を減らしたとはいえ81議席を獲得しました。また、カトリック政党
単純売春は禁止されていない 例えば僕が金持ち父さんで、とある♀とねんごろになり、しかもその♀に経済的な援助をしていたとしますにゃ。いわゆる愛人というやつにゃんね。これは少なくとも法的にはまったく問題にゃーよね、純粋に私的な関係での話ですにゃ。 警察権力というのは民事不介入が原則なので、私的な関係において性関係があるとか経済的に援助しているとかについては介入しにゃー。介入されたら困りものにゃんな。 で、この♂と♀の私的関係にゃんが、例えば僕がある♀にヒトメボレして、しかも向こうもまんざらではにゃーようで、デート誘ったらオッケーで、飯代もホテル代も僕がもって、しかも♀が経済的に困っているのを見かねてカネをだしたとしても、愛人のケースと同じようなものだよにゃ。法で禁止するような話ではにゃー。 性関係において金銭の授受があることそのものは単純売春などといわれるけれど、この単純売春を法的に禁止するこ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く