「会長」 「あら、甲一くん」 図書室の鍵を開けようとしていた雛子に声をかけてきたのは、まだどこか眠たげな顔をしている東賀 甲一だった。 「相変わらず朝は苦手そうだね」 「すいません、どうしてもぼんやりしてしまって……」 「でも、ちゃんと遅刻せずに来れてるんだからいいじゃない」 「本当はもっと早く来たかったんですが」 「自分に厳しいんだね。そんな甲一くん、好きだよ」 「か、からかわないでください」 ふふ、本音なんだけどな、と妖しく笑いながら、雛子は扉を開けて中に入った。 こうして校内の施設を逐一チェックするのも生徒会の役割だった。面倒ではあるが、学校のあちらこちらを見て回るのはけっして嫌いではなかった。 雛子は、ふと横合いからの視線に気づいた。 「なあに、甲一くん。私のことじっと見つめて」 「見つめてはいませんが、聞きたいことがあって。昨日の夜のことですが」 「女の子に夜のこと聞くの?」 「
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