相手は、狭いところでは思うように動けないことを悟ったか、間接攻撃に切り換えた。次から次へと火の玉を放ってくる。 よけることでいっぱいいっぱいの蓮たちは、対応することができない。周囲は火の海になりつつあった。 「華院、このままじゃやばいぞ!」 「言われなくてもわかってる」 ――美柚は。 よけるのではなく、ものの見事に拳で消し飛ばしていた。立ち位置にまったくブレがない。 「…………」 「こっちは任せて!」 「……任せた」 自信満々に言う美柚にかけるべき言葉が思いつかず、ただ素直に答えた。 ――どうするか。 相手の性質からいって、きっと完全に倒さないかぎり再生して戦いが長引くだけ。 ――無尽蔵の霊力か。 現実には有り得ない。しかし、通常の攻撃では元に戻ってしまう以上、一気に叩くしかなかった。 「おい、いけ好かない奴」 「東賀だ。東賀 甲一」 「〔東一〕、一瞬でいい、奴の隙をつくれ」 「変な呼び方