(2012年3月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 欧州債務危機がまたやって来た。しかも、ユーロ圏が欧州救済の傘の増強額をごまかそうとしていることがひとたび市場に見抜かれてしまえば、危機は一段と悪化するだろう。世間には、市場の圧力が弱まったからそれほど大きな傘はいらないという見解もあるが、循環論法の最たるものだと言える。 救済基金増額のごまかし 市場の圧力は最近になって再び強まっている。投資家はスペインの状況を懸念している。 この週末には、ドイツのアンゲラ・メルケル首相がお得意のUターンの準備に取りかかった。ドイツのメディアを使って、救済基金の増額を受け入れる用意があるとの観測気球を打ち上げたのだ。 しかし、そこで示された計算は長ったらしく、耳に入ってくる話の大部分は、二重計算によって問題点を分かりにくくするものとなっている。 米国をはじめとする20カ国・地域(G20)のメンバーは、