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EUROに関するoyoyomのブックマーク (370)

  • 欧州危機、「バズーカ砲」はおもちゃのピストルか

    (2012年3月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 欧州債務危機がまたやって来た。しかも、ユーロ圏が欧州救済の傘の増強額をごまかそうとしていることがひとたび市場に見抜かれてしまえば、危機は一段と悪化するだろう。世間には、市場の圧力が弱まったからそれほど大きな傘はいらないという見解もあるが、循環論法の最たるものだと言える。 救済基金増額のごまかし 市場の圧力は最近になって再び強まっている。投資家はスペインの状況を懸念している。 この週末には、ドイツのアンゲラ・メルケル首相がお得意のUターンの準備に取りかかった。ドイツのメディアを使って、救済基金の増額を受け入れる用意があるとの観測気球を打ち上げたのだ。 しかし、そこで示された計算は長ったらしく、耳に入ってくる話の大部分は、二重計算によって問題点を分かりにくくするものとなっている。 米国をはじめとする20カ国・地域(G20)のメンバーは、

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    oyoyom 2012/03/28
  • 独仏経済が失速、ユーロ圏で深まる景気後退懸念

    ユーロ圏経済は今月、予想外に急激な縮小を見せ、地域が景気後退に陥ったことをほぼ裏づけた。債務危機が南欧諸国の大部分を襲った影響で、フランスとドイツが失速した。 ユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)が3月に低下したことで、ユーロ圏の危機が絶頂に達した昨年暮れの経済活動の減速が景気回復に道を譲ったという期待が萎むことになるだろう。 直近の景気の弱さはフランスとドイツに集中しており、ドイツの製造業生産指数は予想外に低下した。その他ユーロ圏諸国の指数は改善したものの、民間部門の経済活動はなお大幅な落ち込みが続いた。 ユーロ圏の後退は、米国で最近見られる景気見通しの好転とは対照的で、欧州中央銀行(ECB)が域内銀行に期間3年の資金を1兆ユーロ以上供給し、金融市場の信頼回復を後押ししたにもかかわらず生じたものだ。 はかない夢に終わった成長への回帰 ドイツ銀行の欧州担当エコノミスト、ジル・モエク氏は、

  • 防火壁の議論を再開するユーロ圏

    史上最大規模となるギリシャの債務再編を押し通す手助けをし終えた今、ユーロ圏の各国政府は、スペインやポルトガル、その他の脆弱な国を危機の炎から守る防火壁の増強に関する議論を再開する。 欧州連合(EU)の当局者らによると、ユーロ圏17カ国の財務相は12日夜にブリュッセルで開く会合で、この問題について議論する予定になっている。ただし、その場で決断が下される見込みはないという。 検討中の有力な選択肢は、来年期限が切れる予定の一時的な救済基金、欧州金融安定機関(EFSF)に残っている約2500億ユーロの資金を、EFSFの後継基金となる5000億ユーロ規模の欧州安定化メカニズム(ESM)と合体させることだ。 だが、両基金を合体させるには、不人気な救済に対する自国納税者のリスク負担を増やすのを渋ってきたドイツの承認が必要になる。 財務相会合は激しい1週間の幕を切って落とす。まず、加盟国は今週、債務再編が

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    oyoyom 2012/03/16
  • ポルトガルとユーロ:不確かな社会

    (英エコノミスト誌 2012年3月3日号) ポルトガルは困難から抜け出すために、今の苦しみを何とか耐えられるものにしてきた多くのものを手放さねばならない。 ポルトガルが重要な意味を持つことは滅多にない。大陸欧州の天気予報でポルトガルがしばしば地図から切り取られることは、国民のちょっとした苛立ちの原因だ。残念なことに、ポルトガルは今、ことごとく間違った理由で注目を浴びている。 10年物国債の利回りは今年初め17%に達し、ポルトガルはユーロ危機で次に倒れる国と見なされるようになった。ギリシャがすべての債務に関して無秩序なデフォルト(債務不履行)を起こすように見えれば見えるほど、債権者はポルトガルに対して神経質になった。そして、両国の違いについていくら論じても、何の助けにもならないように見える。 ギリシャとの大きな違い それでも両国の違いは顕著だ。アテネのデモで45棟の建物と何枚かのドイツ国旗が

  • スペインが露にする欧州の危機対応の欠陥

    (2012年3月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 抗うことのできない景気後退の力が、財政規律に関する協定という動かすことのできない物体にぶつかった時、何が起きるのか。この問いへの答えは、1つとは限らないかもしれない。ユーロ圏は、今それに気づきつつある。 スペインとオランダは、景気の悪化と予想以上の財政赤字を相手に格闘している。同時にユーロ圏は、新たに苦行のような財政協定を自らに課そうとしている。オランダ政府は一層の歳出削減で赤字を抑え込む構えだが、スペインは別の方針を取ろうとしている。 ほかのEU首脳に知らせず、赤字削減目標の緩和を発表 スペインのマリアノ・ラホイ首相は3月2日、2012年の財政赤字削減目標を緩和すると発表した。これを勇気と捉えるか厚かましさと捉えるかは見方によって判断の分かれるところだ。 ラホイ首相自身は、国内の困難な経済状況と、2011年の財政赤字が予想以上だった

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    oyoyom 2012/03/07
  • 欧州の若年失業:労働市場改革の功罪

    (英エコノミスト誌 2012年2月25日号) 欧州の労働市場は若年労働者を犠牲にして中高年の労働者を優遇してきた。構造改革に関する不定期連載企画の最新版をお伝えする。 ユーロ圏が抱える幾多の問題の中で、最も悩ましいのは若年層の失業問題かもしれない。若い労働者の失業率は、ポルトガルで約30%、スペインでは50%近くに達している。若者にとっては失業率が平均より高いのが普通で、米国のような比較的自由な市場でさえ、その状況は変わらない。 だが、2007年から2009年にかけて若年失業率がスペインでは20ポイント近く跳ね上がったのに対し、米国では7ポイントしか上昇していない。その責任の大部分は、労働市場の規制にある。解雇するのが難しい中高年の労働者が終身雇用契約でいい思いをする一方、若者は通常、一時的に雇い込まれ、比較的簡単に解雇されるのだ。 このような「二重構造」の労働市場は、それ自体が改革の産物

  • 連帯に別れを告げる欧州

    (2012年2月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 一部の言葉は、いわば大陸ヨーロッパロ人の所有物だ。多くの英国人や米国人が「連帯」について語るのを耳にすることはないだろう。連帯という表現は(アングルサクソンから見ると)、社会的市場資主義の感傷的な合意形成主義や、欧州統合の預言者たちに属するものだ。 最近何が起きたかと言えば、連帯が消滅してしまったのだ。このことが、ユーロ、そして欧州連合(EU)が大変な苦境に陥っている理由を説明している。 完全に崩壊した信頼 また1週間が経ったら、また傷口に絆創膏がはられた。ギリシャに対する追加支援は、ある程度時間を稼いだ。重要なこと(あるいは、我々がそう信じ込まされていること)は、再度、傷が焼灼された、ということだ。だが、大局的な見地からすると、最新の救済措置が枝葉の問題であるのは誰にとっても火を見るより明らかなはずだ。 多くのギリシャ人は、救済

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    oyoyom 2012/02/27
  • ユーロ圏の防火壁を巡り「トリプルA同盟」に亀裂

    ドイツ、フィンランド、オランダの3カ国は、ギリシャに対する1300億ユーロの追加支援で、ギリシャ政府と民間のギリシャ国債保有者に厳しい条件を押し付けた。 ところが、それからわずか1日で、国債市場での飛び火を防ぐ総額5000億ユーロの防火壁の規模拡大を巡って、トリプルA格付けの北部欧州同盟に亀裂が入った。 20日夜にドイツのヴォルフガング・ショイブレ財務相と組み、ギリシャの投資家に追加の損失負担を強い、ギリシャ支援に対する監督権を求めたオランダのヤン・ケース・デヤーヘル財務相は公の場で、ユーロ圏の救済基金を7500億ユーロに拡大することを求めた。 オランダ政府は、今年半ばに5000億ユーロの恒久的な救済基金が発足する際に、現行の暫定的な救済基金(約2500億ユーロの資金が残っている)も存続させるか、2つの基金の財源を統合するという欧州委員会の計画を支持している。 やはりトリプルA同盟国である

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    oyoyom 2012/02/25
  • 極秘文書に見るギリシャ救済策の落とし穴 数字の操作では隠し切れない経済成長の必要性

    ユーロ圏の財務相らは13時間に及ぶマラソン会議で、ギリシャへの追加支援を決定した(椅子に座っているのが、ドイツのヴォルフガング・ショイブレ財務相)〔AFPBB News〕 新たに合意された1300億ユーロの追加支援により、ギリシャは2010年代末までに債務残高を持続可能な水準にまで減らせるというシナリオを信じているか――。 そう質問されたドイツのヴォルフガング・ショイブレ財務相は21日、米国人の言葉を引き合いに出すことにした。 「当然のことながら、マーク・トウェインが言ったように、そうしたシナリオにはかなりの不確実性が伴う」。ブリュッセルでのマラソン交渉を終えたショイブレ財務相は、皮肉っぽくこう言った。「予測というのは常に難しいものだ。将来についての予測は特に難しい」 この発言は、救済パッケージの詳細を吟味する政府高官やアナリストたちの間に広まっている懸念を反映したものだ。今回のパッケージ

  • 歓迎すべき通貨同盟ユーロ号の安定 今後3カ月の最大の焦点はフランスの選挙

    認めるべき功績は認めよう。昨年11月、少数とはいえ苛立った欧州の政治家は、国債市場の混乱に愕然とし、ユーロ圏がクリスマス以降も無事に生き残れるかどうか疑問に思っていた。 今は、そのような恐怖感はない。海は決して静かではないし、行く手には幾多の嵐が待ち受けている。だが、欧州の政策立案者たちは少なくとも、通貨同盟という立派な船が近く転覆しないことを確実にした。 この3カ月間で、いくつかの要因がユーロ圏の安定に貢献してきた。 この3カ月でユーロ圏が安定してきた理由 まず、欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁が、銀行向けの大規模な低利融資プログラムを導入した。この対策のおかげで、欧州の金融システムの緊張が和らぎ、各国政府の借り入れコストが低下した。ECBが先週、流通市場で国債を買う必要を感じなかったことは、注目に値する。 次に、無責任なシルビオ・ベルルスコーニ氏に代わって改革派のマリオ・モン

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    oyoyom 2012/02/24
  • 社説:拡大するECBの融資先

    (2012年2月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 銀行とは何か? この問いの答えにはどうやら、フォルクスワーゲン(VW)やPSAプジョー・シトロエンも含まれるようだ。これらの自動車メーカーは、欧州中央銀行(ECB)が実施する太っ腹な長期リファイナンスオペ(LTRO)からの借り入れを検討しているようなのだ。 「最後の貸し手」によるオペとしては、やり過ぎではないのか? いや、そんなことは全くない。このオペの根的な目的は、銀行を支えるだけではなく、景気を回復させることにある。それに手を貸してくれるのであれば、借り手が増えることは願ってもないことだ。 低利資金を景気回復につなげる方法 ECBからは既に、500を超える数の銀行が計4890億ユーロもの資金を年利1%で借りている。資金調達が容易になったことは景況感に好影響を及ぼしており、ユーロ圏全体で必要な調整を進める時間も稼いでくれた。 枠

  • 欧州とユーロ:難局から抜け出す道

    (英エコノミスト誌 2012年2月18日号) ユーロ圏はギリシャを巡る瀬戸際戦術を乗り切るかもしれないが、回復への道は長く険しいものになる。 2011年は、ユーロ危機に新たな展開があるたび、金融市場が急落した。ところが2012年に入ると、市場は関心を失ってしまった。 アテネの抗議デモが放火騒ぎに発展しても、ギリシャの新たな支援策について合意するはずだった閣僚級会合が土壇場で中止されても、市場はほとんど反応しなかった。 冷静なのは歓迎すべきだが、無頓着だとしたら正しい態度とは言えない。ギリシャ支援策は恐らく合意されるし、欧州大陸全体に改革の明るい兆しが見られる。 それでも、ユーロ圏の前途に立ちはだかる問題が巨大であることに変わりはない。危機は事実上、急性期から慢性期へと移行しているのだ。 ギリシャ政府は折れるか? ギリシャが直面する最も新しい問題の発端は、欧州各国の財務相がギリシャの指導者ら

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    oyoyom 2012/02/20
  • ユーロ圏の中央銀行と損失というタブー 日銀の悲劇を思い出させる展開

    (2012年2月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 今から15年前、あまり知られていない悲劇が日銀を襲った。1990年代半ば、日の銀行危機が初期段階だった頃、日銀の当局者たちは、問題を取り繕い、時間を稼ごうと必死になって、経営不振の金融会社を支えるために中央銀行自身の資金をいくらか使うことにした。 だが、その会社は倒産。投じた資金は無駄になり、日銀のバランスシートに戦後初めて穴が開いた。責任者だった日銀幹部は、慙愧の念に苛まれて自殺した。この一件は、各国中央銀行の指導者層の集団心理に、今なおうずく傷跡を残した。 損失を認めたがらない中銀 海外では、この話を知る人はほとんどいない。だが、ユーロ圏のあちこちで政治闘争が激化する中、筆者の頭にふとこの悲劇が浮かんだ。 ある意味では、15年前に日銀で起きたことは完全に特異な事件だった。ありがたいことに、日のような極端な恥の文化を共有する国

  • ユーロ危機でドイツを叩く不条理

    最近、ドイツの外務省にとって、欧州各地の報道のチェックは気持ちのいい作業ではない。 「ちょっと見てくださいよ。こんなものは、とても受け入れられない」。ある外交官はそう嘆きながら、シルビオ・ベルルスコーニ氏所有のイタリア紙イル・ジョルナーレの1面に載った記事を指さした。 ユーロ危機とアウシュビッツを結びつけ、ドイツの傲慢さに気をつけろと警告し、ドイツは単一通貨を兵器に変えたと断じる内容だった。 もはやタブーでなくなったナチス・ドイツへの言及 ギリシャの新聞も大差ない。ナチスによるギリシャ占領に言及する際のタブーは、ずいぶん前に破られている。 「ドイツ人は嫌なヤツだ」との見方が南欧全域で息を吹き返している。ドイツは他国を貧困に追いやり、各国の政府から権限を奪い、大抵は誰にでも偉そうに命令する、という具合だ。 これに比べればはるかに丁寧とはいえ、ドイツ叩きは政府などの要職に就く人々によっても行わ

  • ユーロ圏の盟主ドイツの悩み 超大国にもなれず、BRICsの仲間入りもできず・・・

    中国は今年、ドイツにとって最大の貿易相手国となる(写真は2月2日、中国・広州で、アンゲラ・メルケル独首相とともに工場を見学する温家宝首相)〔AFPBB News〕 ドイツのアンゲラ・メルケル首相が中国の北京を訪問した。折しも今年は中国がフランスに取って代わり、ドイツにとって最大の貿易相手国になろうとしている年だ。 この首位交代が起きる時は、象徴的な瞬間となる。そして、次のように問いかける人々を勢いづかせるはずだ。 その問いかけとは、ドイツはユーロ圏の混乱から距離を置き、「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)」のようなグローバルな中規模経済大国になるべきではないか、というものだ。 ドイツがBRICsの仲間になるという考え方を初めて聞いたのは、欧州外交評議会のウルリケ・ゲロ氏の口からだった。ゲロ氏はドイツ国内でくすぶる分離主義的な反欧州の動きに猛反対している人物だ。 ドイツがユーロから

  • 欧州の立法者メルケル:後退する民主主義

    (英エコノミスト誌 2012年2月4日号) 財政赤字を削減するための協定は、民主主義の赤字の拡大という犠牲の上に結ばれた。 汝、構造的財政赤字を抱えるなかれ。汝、過剰債務を解消すべし。汝、自国憲法に均衡財政規定を盛り込み、その判断を欧州司法裁判所に委ねるべし・・・。 ドイツのアンゲラ・メルケル首相が財政法を記したこの石板を打ち立てるまで、40日と40夜をわずかに上回るほどしかかからなかった。 ブリュッセルで1月末に開催された欧州連合(EU)サミットでは、欧州25カ国の首脳がこの協定を順守することを誓い、自国の経済的主権を生贄として捧げた。 しかし、欧州の子らは荒れ野で叫び声を上げる。「主よ、我々はいつまで緊縮財政に苦しまなければならないのでしょう」と。 いつまで緊縮財政に苦しまねばならないのか? メルケル首相は政治同盟が実現すると予言する。しかし差し当たり、今後数年間は、赤字削減が唯一の正

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    oyoyom 2012/02/07
  • 生命維持装置につながれた欧州の病人

    (2012年2月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 経済問題について意思決定を下す政策立案者たちは、2カ月前より楽観的になっている。主な理由は、マリオ・ドラギ総裁の鋭敏な指導力の下で、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏における金融崩壊のリスクを取り除いたという確信だ。 カナダ銀行(中央銀行)総裁として尊敬され、ドラギ氏から金融安定理事会(FSB)議長の座を引き継いだマーク・カーニー氏は、先にダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会で、「欧州ではリーマン流の出来事は起きない。これは重要なことだ」と語っている。 ECBはユーロ圏を心臓発作から救ったが・・・ ECBが昨年12月に期間3年の長期資金供給オペを導入して以来、イタリアとスペインの銀行のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)保証料率は低下した。ドイツ国債と一部の脆弱な国の国債との利回り格差も縮小した。 これはユーロ圏の危機が終

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    oyoyom 2012/02/02
  • 欧州危機、債務激増を招きかねない財政条約

    筆者が最近何人かで話をしていた時、会話に参加していた人は皆、欧州の新しい財政協定は全く馬鹿げた代物だという見方に賛成しているようだった。 すると、かつて政策立案者だったある人物がその会話を聞きつけて筆者たちの方を向き、原則的にはその通りだと思うと語った。しかし、もし新条約が欧州中央銀行(ECB)により柔軟な姿勢を取るよう促すのであれば、やってみる価値はあるかもしれないと付け加えた。 筆者はその後、ある中央銀行幹部と話をした。この人物も財政条約には意味がないとの見方に賛成してくれたが、それでも条約を支持するという。金融市場へのシグナルの役目を果たすというのがその理由だった。 さらに、よく接触する数人の金融市場関係者と話をしたら、あの条約は全く馬鹿げているという答えが返ってきた。 新条約については、どれほど好意的に表現しても「必要ではない」としか言えないだろう。条約の最終版に盛り込まれそうな内

  • 欧州が米国の債務騒動から学べること 最悪のシナリオに備えた米銀の教訓

    大手米銀は昨年夏、万一のことがあっても消費者がパニックに陥らないよう、密かにATMを現金で一杯にしていた〔AFPBB News〕 昨年夏、米国最大級の銀行数行は密かに、自行のATM(現金自動預け払い機)に現金を目一杯詰め込んだ。 その理由は何か。銀行幹部らは2011年7月、米議会が債務上限を引き上げる措置で合意できないために、米国が今にもテクニカルなデフォルト(債務不履行)に陥りかねないと思っていたのだ。 そこで彼らは集団で議論を重ねた末に、デフォルトという「最悪」のシナリオが現実になった場合、現金が尽きるのではないかと消費者がパニックを起こすことが決してないよう、ATMを現金で一杯の状態にすることを決めたわけだ。 ユーロ圏解体という「最悪のシナリオ」への備えは? 今、ユーロ圏の将来を巡る複雑なドラマが進行している中で、これは熟考すべき示唆に富んだ話だ。欧州や米国の銀行幹部は今のところ、公

  • 欧州危機:希望か絶望か

    (英エコノミスト誌 2012年1月28日号) 欧州は成長によって債務危機から脱け出す戦略探しに腐心している。 最近、ブリュッセルでよく耳にする言葉は「成長」だ。恐らく、欧州の大部分に忍び寄る景気後退が、人々の意識を集中させているのだろう。あるいは、緊縮財政が長年続くという見通しが各国の不和のもとになっていることに、首脳陣も気付いたのかもしれない。 国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、債務危機を解決し、成長を回復しなければ、欧州と世界は1930年代に逆戻りする恐れがあると警告している。 1月30日に開催されるサミットで、欧州連合(EU)の首脳陣は生産の拡大推進や若者の失業対策、中小企業の支援など、山積する問題について厳粛な面持ちで話し合うことになる。欧州投資銀行(EIB)を通じて、使われていないEUの資金を再利用するなどして、雇用創出に資金を回すことさえあり得る。 サ