安倍晋三政権の最重要課題である安全保障法制の整備をめぐる国会論議が5月の連休明けから始まる。いったいなぜ集団的自衛権の行使を容認する法整備がいま必要なのか。安倍政権の立場は本来あるべき姿からみれば、実はきわめて抑制的でもある。論戦を前に、もっとも基本の論点を整理しておこう。 中国の軍事支出は10年間で4倍に なぜ安保法制の見直しが必要か。それは、なにより世界とりわけ東アジアの安保環境が険しく緊張が高まっていて、日本が少なからぬ脅威にさらされているからだ。リベラル左派と立場を分かつのも、実は現状認識が出発点である。リベラル左派は安倍政権の考え方をあれこれと批判するが、そもそも日本に対する脅威の存在をどう受け止めるか、という肝心の議論が欠けているのだ。 一言で言えば、私を含めて集団的自衛権の行使容認賛成派は脅威を深刻に受け止めている。ところが、反対派は脅威に目を背ける。現状認識がまったく異なっ