人間は、天から与えられた分厚いカタログの中から何を作るかを選ぶわけではない。むしろ、僕たちは新たなテクノロジーを生み出すことで、世界の姿を描き直す。それは幼稚園で学ぶような当たり前のことなのに、過去の成果をコピーするばかりの社会の中で、すっかり忘れられている。 ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ(関 美和 訳)『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』 AlphaGoが世界最高峰のプロ棋士を打ち破ったり、自動運転自動車も実用段階に入ったり、AI技術の向上に伴う明るいニュースが飛び込んできた時、新たなテクノロジーに興奮する一方で、暗い未来をつい想像してしまう。 「AIが人間の仕事を奪う」未来、もっと言えば「AIが人間の価値を奪う」未来を。 新たな技術が既成の製品よりもはるかに安価で、低機能で、場所をとらず使い勝手の良い製品を生み出し、市場の勢力図が入れ替わることを、ハーバード・