大阪市を廃止して四つの特別区に分割する「大阪都構想」の議論が大詰めを迎える中、特別区の運営が破綻する懸念が浮上してきた。大阪都構想を推し進める「大阪維新の会」は、人口約270万人の大阪市を人口70万人規模の特別区に分割することに「ニア・イズ・ベター」の理念を掲げるが、現実はその逆で、財政的に困窮した特別区は住民サービス削減に迫られ、市民生活はレベルダウンする可能性が高い。この「最悪のシナリオ」を、「大阪維新の会」だけでなく行政ぐるみで隠蔽したまま、大阪市廃止に向かう手続きを進めている。 ■自治体運営の根幹が議論されていない 特別区の財政問題は、大阪都構想について話し合う「大都市制度(特別区設置)協議会」(通称・法定協議会)の場で、大阪市議会の自民党会派副幹事長、川嶋広稔市議が追及して発覚した。政令指定都市の大阪市を廃止して設置される四つの特別区について、各特別区の運営に最低どれぐらいの費用